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エアバス、岐阜のカーボンファイバーリサイクル工業に投資
家業の美濃瓦焼成技術でCFRPをリサイクル
エアバス・ベンチャーズは6月25日、カーボンファイバーリサイクル工業(CFRI、岐阜県可児市)のシリーズAラウンドに参加することを発表した。CFRIの板津秀人代表取締役は、家業で培った伝統的な美濃瓦の焼成技術を利用し、自身の技術スキルを用いて特別に炭素繊維複合材料の樹脂分の分解および炭素繊維の回収をする新たな焼成炉を設計することに成功した。シリーズAラウンドの調達金を投じてCFRIは、今後の炭素繊維成形品の廃材等のリサイクルに係る量産スケールアップ検証のための設備投資、東京への本社移転、さらには新たな人材雇用を実施する。さらに欧州を始めとした国際的な事業拡大を目指す方針だ。最終的に自動車産業だけでなく航空宇宙産業にも部品を供給し、高水準の環境および経済効率性を確保する安定した事業システムを構築することを目指す考え。
カーボンファイバーリサイクル工業は、伝統的な美濃瓦の焼成技術を応用しており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や岐阜大学などから開発支援を受けて、炭素繊維のリサイクル技術を確立することに成功。この技術によりこれまで再生が難しいとされた航空機の製造工程から出る廃材等から、効率的に且つ高品位な状態を維持しながら炭素繊維のみを取り出す事に成功したという。
カーボンリサイクル工業では、まずは自動車分野における炭素繊維のリサイクル技術を確立することを目指していて、将来的には航空機産業への展開を図っていく様相。エアバスとしても、将来的な機体等リサイクルを見据えて、カーボンリサイクル工業に投資することに踏み切ったかたちだ。