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2020.06.12

WING

EASA、全電動機に世界初の型式証明で航空史に新章

スロベニアのピピストレル社製「ヴェリス・エレクトロ」が取得

 欧州航空安全庁(EASA)は6月10日(ケルン現地時間)、世界で初めてとなるオール電化航空機の型式証明を発行したことを発表した。EASAが型式証明を発行したのは、スロベニアを拠点とするピピストレル社製の「ピピストレル ヴェリス・エレクトロ」(Pipistrel Velis Electro、以下:ヴェリス エレクトロ)。「ヴェリス・エレクトロ」は、主にパイロットの訓練用として使用する2人乗りの機体。同機は去る5月18日にEASAがピピストレル社に対して認証した電動エンジン「E-811-268MVLC」を搭載している。
 航空機は新たな時代へと向かって着々と研究開発が進められている。より環境適合性が高く、かつ経済性に優れた航空輸送を実現しようと、様々なアプローチで研究開発が進んでいる。その一つが電動航空機で、ハイブリッド方式、ピュアエレクトリック(全電動)式の航空機開発が加速している。そしてEASAは世界に先駆けて全電動式の航空機に対して型式証明を発行することに成功。新たな航空史の1ページが開かれることになった。
 EASAは同機の型式証明取得について、プロジェクトスタートから「3年足らずで認証を取得した」と短期間で型式証明発行に至ったことに言及。フランスやスイスの専門家チームも加わって、プロジェクトを進めたことを明かした。その上で「認証に必要な高い安全基準を満たしていることを確認するという共通の目標のもと、ピピストレル社とEASAの緊密な協力関係があったからこそ可能になっただった」と振り返った。
 さらに、EASAは同プロジェクトを通じて、将来の電動エンジンや航空機の認証をサポートする重要な教訓を獲得。プロジェクトの過程でEASAは、バッテリーとその管理システム、電気エンジンのパワーユニットに関する様々な知見を獲得することに成功。電気航空機の実地経験も得たとしている。
 ピピストレル社によると、同機は「ヴェリス・トレーニング・システム」の基本部分として考案され、安全性を損なうことなく、操縦およびメンテナンスが容易に行うことができるように設計。シンプルなユーザーインターフェースを採用しており、・・・・・・・。

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