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「はやぶさ2」がリュウグウに23kmまで接近
JAXA等、撮影したリュウグウの画像を公表
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月26日、小惑星探査機「はやぶさ2」は同日午前10時10分から20分(日本時間)にかけ7度目の軌道制御として数回に分けてスラスタ(小型速度・姿勢制御用噴射装置)を噴射して、加速を行ったことを明らかにした。この時のリュウグウからの距離は約23キロメートル、「はやぶさ2」のリュウグウに向かう相対速度は約2センチメートル/秒という。6月25日には、6月24日に撮影した小惑星リュウグウの写真2点を公表した。
Jはやぶさ2プロジェクトチームでは、「『はやぶさ2』は打上げから約32億キロメートルを飛行して、ついに目的地が間近かとなり、地球から2億8000キロメートルかなたの宇宙空間で小さな2つの天体がもうすぐ出会う」、と述べている。今回公表された画像は、(1)6月24日15時(日本時間)ころに広角の光学航法カメラONC-W1で撮影した広角画像の一部と、(2)6月24日0時01分(日本時間)ころに望遠の光学航法カメラONC-Tで撮影したリュウグウの望遠画像の2点。とくに望遠画像ではリュウグウの表面の様子がかなり鮮明に見えてきている。
プロジェクトチームでは、「表面のクレーターが見え、岩が見え、場所ごとに異なる多様な地形が明らかになってきた」、としている。そして「リュウグウの形は科学的に意外であると同時に、工学的に挑戦しがいがあるもの」とコメントしている。
接近して着陸する上での検討については次のような分析評価を行っている。
「まず自転軸が立っている。このこと自身は着陸やローバー投下運用の自由度が高まる。一方で、赤道付近が峰になっていて、大きなクレーターもあり、着陸候補地点の選定は面白くかつ難しいものになるだろう。まら、全体として、ホタル石またはソロバンの玉のような形状をしていることから、小惑星の表面の重力がまっすぐ鉛直下向きではない地域が広いと予想される。これらの観点は、今後の運用計画策定のため詳細な調査が必要だ」。
※写真=「はやぶさ2」の撮影したリュウグウの望遠画像(提供:JAXA、東京大など)