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2020.06.22

ウイングトラベル

★JAL株主総会、ポストコロナで観光需要重視へ

 ビジネス依存から脱却、国内旅客も成長エンジンに

 日本航空(JAL)は6月19日、都内で第71期定時株主総会を開き、参集した株主に対して環境が大きく変化するポスト・コロナに向けた取組み方針について説明した。議案の上程前に赤坂祐二社長は、ビジネス需要に依存してきた事業構造から「観光需要をさらに高める必要がある」ことを強調。さらに、主軸としてきた国際線事業だけでなく、国内線事業や貨物事業にも目を向けて、バランスの取れた成長によって、新しい時代に対応していく考えを示した。
 赤坂社長は近い将来、経営環境は極めて大きな変化が訪れることになるとして、マーケットの観点で国際線の回復遅れなどで「ビジネスの利用が従来よりも減少することになる」と想定した。社会的な観点では、ニューノーマルや、働き方改革など、新たな価値観があらわれることになるとした。その一方で、JALの経営環境については有利子負債が大きく増加することになるという。そうした将来を見越して、今後目指すべき方向性について説明を行った。
 その一つとして示したのが、事業構造の見直し。JALの現在の収益構造を大きく変更させる内容を示した。現在のところ、JALの旅客事業は、ビジネス需要に大きく依存する。それを今後、観光需要でも収益性を高める構造に変化させていくという。そのため、ZIPAIRによる中長距離LCC事業を強化し、高収益化を目指したい考えだ。また、これまで国際旅客事業を成長ドライバーに位置付けてきたが、今後は国内旅客事業や、貨物事業にも注目する。それぞれバランスの取れたかたちで成長していきたいとした。さらに長期的には、新ビジネスにも着手する。「航空事業だけ過度に依存しないような事業構造を目指したい」と話した。

 

※写真=株主総会で示したポスト・コロナ後のJALの体制。ビジネス依存の事業体制から、旅行・観光の需要創出に取り組む