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20年度第1四半期に実施した緊急発進は194回
中・露比率は7対3、前年度比52回減もいぜん活発
統合幕僚監部は7月10日、航空自衛隊が2020年度第1四半期(4月1日〜6月30日)に実施した緊急発進(スクランブル)状況を発表した。期間中に行った緊急発進は、前年同期よりも52回減少した194回で、対象の航空機は中国機が約68%、ロシア機が約31%、その他が約1%となった。緊急発進の回数は前年度よりも減ってはいるものの、いぜん中国・ロシアの航空機による周辺空域での活動は活発な状況。特に中国は、コロナ禍の中でも衰えることなく、南シナ海も含めて頻繁に軍事活動を行った。引き続き警戒が必要な状況だ。
実施回数の7割近くを占めた中国機への緊急発進は131回で、前年度同期よりも48回減少した。これは、2016年度までの過去5年間の中で、2017年度第1四半期の101回に次ぐ少ない回数となった。近年、中国機が頻繁に行う沖縄-宮古島間の通過事案は、6月28日にH-6爆撃機2機が通過した1回。また対馬海峡を通過した事案も、6月22日にY-9情報収集機1機が通過した1回だった。統幕では、回数自体落ち着きを見せているものの、中国軍が東シナ海や南シナ海で頻繁に軍事活動を展開している状況を踏まえ、引き続き十分な警戒が必要だとした。
緊急発進回数の3割超を占めるロシア機に対する緊急発進は、前年よりも5回減少した60回となった。これは、過去5年のうちで最も少ない回数となった。2017年度第1四半期の125回から、18年度95回、19年度65回と、徐々に回数が減っているところ。しかしロシア機はこれまで、増減しながら日本周辺の飛行を続けてきた。日本側としては、回数の増減のみで状況を判断せずに、引き続き動向を注視する構え。
また第1四半期緊急発進の特徴については、・・・・・。
方面隊別で南西空102回、北空増えて55回に
中国機、沖縄・宮古間と対馬海峡で1回ずつ往復
※図=20年度第1四半期に日本周辺を飛行した中国機およびロシア機の飛行パターン例(提供:統合幕僚監部)