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JAXA、産官学連携の電動航空機コンソーシアム発足
将来ビジョン策定し競争力ある技術開発へ
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月1日、経済産業省や大手企業と連携して「航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム」を発足した。同コンソーシアムを通じて、航空機電動化に関する将来ビジョンを策定・共有し、それに基づき技術開発を行うことにより、日本として国際競争力のある技術の強化を目指す。今年12月頃には一般公開型の「航空機電動化オープンフォーラム(仮称)」を開催し、将来ビジョンやコンソーシアムの活動を紹介する予定だ。
航空機は、”電動航空機の先駆け”とされる787ドリームライナーを皮切りに電動化が進展しており、海外では超小型航空機などで電動航空機の開発が急速に加速している。そうしたなかJAXAとしては、経済産業省やIHI、川崎重工、SUBARU、日立製作所、三菱重工航空エンジン、三菱電機らと連携して、CO2排出などの環境負荷を抜本的に低減する航空機の電動化技術を開発するとともに、日本の航空産業の飛躍的な拡大に向けて産業界のイニシアチブを醸成することを目的として、コンソーシアムを立ち上げることにした。
コンソーシアムはJAXA航空技術部門次世代航空イノベーションハブが中核となり、産学官連携のもと、世界に誇る国内の電動要素技術などを航空機技術と糾合するオープンイノベーションの手法によって、抜本的にCO2排出量の削減が可能な「エミッションフリー航空機」の実現と新規産業の創出に向けた活動を行う計画だ。
ちなみにJAXAは、小型の航空機に搭載可能で、降下時にはエネルギーを回生しバッテリーを充電できる航空機用モーターシステムを研究開発に取り組んでおり、2014年から2015年にかけて大利根飛行場や航空自衛隊岐阜基地などで、実際に人が搭乗して操縦することによって飛行実証試験に成功。本格的な電動航空機の有人飛行は国内初となる成果を生み出すなど、研究開発を進めてきている。