ウイングトラベル
農協観光17年度決算、減収減益に
海外旅行前期並みも国内・訪日旅行の減少響く
農協観光の2018年3月期(17年4月〜18年3月)の単体決算は取扱高が3.9%減の716億3000万円、営業収益は2.6%減の716億3000万円と減収となった。利益は営業利益が49.1%減の1億8700万円、経常利益は40.7%減の2億5400万円、当期純利益は70.7%減の8900万円と減益となった。
海外旅行部門は前期並みで推移したものの、国内旅行部門は九州北部豪雨を始めとした自然災害の影響を受けて前期比マイナスとなったほか、訪日旅行は取引先の絞り込みを行ったことや個人旅行の増加に伴い約3割の減少となったことが影響した。一方利益は減収に伴う影響に加え、前期は関係会社の売却に伴う約1億3000万円の特別利益が発生したが、今期はそうした特殊要因がなかったことが今回の実績につながった。
部門別の業績を見ると、国内旅行部門はJAと地域、都市と農村の交流をコーディネートする「ふれあいツーリズム」の促進を中心に展開。「JA支店ふれあい企画」や「女性組織仲間作り旅行」などJA事業や各種組織活用の活性化に寄与する取り組みを行った。
宿泊商品では地場産素材にこだわった料理自慢の宿泊プラン「地産地消持参地消こだわりの宿」を5000人超が利用した。また、郷土食豊かな食文化を楽しめる企画「まるごと食の旅」も23の県域で1万人超が参加した。このほか、JAグループとして大相撲巡業の岡山場所、松本場所を開催した。このほか、JRデスティネーションキャンペーンと連動した団体誘客企画キャンペーンや国内線チャーター企画など地域のニーズに応えるさまざまな団体旅行企画を実施した。
しかし九州北部豪雨をはじめとした全国的な大雨被害や雪害などの影響を受け、国内旅行の取扱高は4.0%減の616億5300万円となった。
海外旅行はJA組合員や地域住民の「ふれあい」活動を実践する地域単位の募集旅行や利便性の高い海外チャーター企画に取り組んだ。タイ・バンコクで実施したふれあいカーニバルinバンコクには1000人超が参加した。また、国際線チャーターはロシア向けに10本を行ったのを始め、ハワイ、パラオなどに計23本、2239人の送客を行った。そうした取り組みが奏功し、取扱高は0.9%増の79億2700万円と微増ながらもプラスとなった。
訪日旅行部門はシンガポールからのMICEの受注が増加、欧米豪からの受注は前年並みに推移したものの、生産性を高めるため取引先を絞ったことや円高や旅行会社を通さない個人旅行客の増加などの要因もあり、取扱高は29.5%減の10億6700万円にとどまった。
保険部門などその他の取扱高は4.5%増の9億8100万円となった。