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2020.08.24

WING

米海兵隊機事故再調査、薬剤成分が事故原因にならず

事故機パイロット、練度低くも訓練参加要件満たす

 

 防衛省はこのほど、高知県沖で去る2018年12月6日に発生した米海兵隊所属機の空中接触・墜落事故に関する再調査結果を発表した。米側では2019年9月に一度、同事故に関する調査結果を発表したものの、全体像を正確に捉えきれていないとして再調査を行っていた。改めて示した調査結果では、一部搭乗員から検出された薬剤成分は、事故の要因だった可能性があるとしながら、直接的な事故原因ではなかったとした。さらに事故機パイロットの習熟度は低かったが、夜間空中給油訓練への参加条件を満たしていた。そのほか、暗視ゴーグルの使用は事故要因にもならないとした。また、以前に発生した別の類似事故の調査が規定どおりであれば、事故防止の是正が適切だったかもしれない、という表記は推測であり誤りだったとして、改めて示した。
 この事故は、米海兵隊岩国基地所属のF/A-18Dが2機編隊でKC-130Jとの夜間空中給油訓練を行っていたところ、F/A-18Dのうち1機が空中給油機に接触し、F/A-18DとKC-130Jが墜落したというもの。類似の接触事故が2016年に沖縄本島沖で発生していて、このときから乗員の練度不足などが指摘されていたほか、事故調査が適切に行われていなかったことなどが指摘された。2018年の事故に関する再調査は、事故の重大性などを鑑みて、米側総合処分担当官(CDA)が実施。さらに海兵隊および海軍内の専門性および経験を有する12人の専門家による再調査委員会を設置して事故の全体像を捉えることとした。

 

 事故状況は回避困難、距離感つかめず接触
 部隊の即応性レベル低下、非標準的運用を助長
 人員配置方針変更、能力を考慮した配置へ

 

※写真=F/A-18DとKC-130Jとの接触・墜落事故について、再調査結果を示した(提供:ボーイング)