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2020.09.09

WING

河野防相、日米同盟の中でミサイル防衛の懲罰的抑止

役割の変更特になし、NSCで今後の対応議論

 河野太郎防衛大臣は9月8日の閣議後会見で、ミサイル防衛に関する抑止力の検討状況について説明。抑止力には拒否的抑止、懲罰的抑止があるとして「懲罰的抑止に関していえば、日米同盟の中で行われるもので、特に役割を変更することはない」と述べ、在日米軍が矛、自衛隊が盾という基本的な姿勢が変わらないことを示した。ミサイルの脅威が増す中で、対応について今後「NSCの中でもしっかり議論していきたい」とした。
 また河野大臣は、政府内で敵基地攻撃に関する議論は行われていないとした。しかしながら、自民党の提言書には誘導弾などによる攻撃を防御するため、ほかに手段がないと認められる場合、誘導弾などの基地を叩くことは、法理的に自衛の範囲に含まれる、との考えが示された。いわゆる“鳩山答弁”を持ち出して、相手基地の能力をなくすことは可能だと捉えたものだ。
 この考え方について河野大臣は、“鳩山答弁”自体が過去の法理上の議論の中で出てきたとした。近年では、様々な国がミサイルの能力を獲得していて、ここでは現実的に、日本をミサイルの脅威から防衛するため、その手段を議論せざるを得なくなっている状況となった。その上で「法理上の議論から現実の脅威にどう対処するかという、少なくともフェーズが変わっている」のだと、認識を述べた。自民党の提言書には、当時の法理上の解釈が今も引き継がれている、との見解を示した。
 河野大臣は、NSCの中で、憲法を含む法令の範囲内でミサイル防衛に関する議論が行われているとした。この議論では、あくまで抑止力をどのように高めていくのかが大事だとして、敵基地攻撃に関する議論ではないとした。

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