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PDエアロ、下地島宇宙港合意で機体開発も加速
12月から下地島で6号機飛行試験、7号機は来年10月頃
沖縄県と下地島空港を宇宙港として活用することに基本合意したPDエアロスペースの緒川修治社長が9月11日、都内で記者会見に臨んだ。このなかで無人実験機PDAS-X06号機を下地島空港に持ち込んで、いよいよ飛行試験を開始する計画にあることを明かした。
全長4.9メートル、全備重量400kg、マッハ数0.35の飛行速度を有し、高度10kmまで上昇することが可能なPDAS-X06号機は、当初計画では今年5月のゴールデンウィーク明けにも自社開発のパルス・デトネーション・エンジンに換装したかたちで飛行試験を実施する計画だった。ところが新型コロナウイルス感染拡大の影響で、同社の試験計画に大きな狂いが生じてしまった。それでも今年7月末、北海道大樹町で滑走試験を実施することに成功。ただ、北海道大樹町で計画していた試験を100%実施することができない状態となっている。
緒川社長は「(大樹町での)滑走試験は、低速、中速、高速、そしてローテーション試験(離陸寸前の機首のみ上げて戻す)という大きく4項目に分けて計画していた」と振り返りながらも、予想以上に雨天の日が多く滑走路に出る環境をなかなか作れなかったことのほか、無人機オペレーターが機体特性を掴むための訓練に時間を要した結果、「中速滑走試験後半の試験まで終えた」ことを明かした。
「今後、高速試験、ローテーション試験を下地島空港で実施する。下地島では長く幅の広い滑走路を使って滑走試験を行うことができる」とし、飛行試験開始を前に、残りの滑走試験も下地島空港で実施することに触れた。
また「今後の動きはまだまだコロナの影響で不透明。人員を確保しようとしても海外から人が来ることができない。部品・モノの移動に関しては、少し良くなってきたが、まだ少し影響が残っている」とし、開発遅延に繋がる要素になっているとした。
PDAS-X07号機は大幅な設計変更か
2022年1月には高度100km到達へ
格納庫建設しテナント事業、国内外から誘致
訓練事業や観光事業、共同研究や教育も展開
コロラド宇宙港と提携深化、近く発表へ
米宇宙港の知見獲得などで
※写真=PDエアロスペースが下地島空港を活用した宇宙港事業に。沖縄県と基本合意した。今後、コンソーシアムを立ち上げ、地元や企業とコンテンツの検討など進める
※写真=スペースポート・ジャパンの山崎直子代表理事(左)、PDエアロスペース緒川修治社長、HISの澤田秀雄会長(右)