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2020.09.17

WING

国内航空機生産、6月は1177億円に急回復

回復も前年比25%減、回復力持続には疑問

 今年6月の日本国内の航空機生産額(製造・修理)が、1177億3400万円にまで回復したことが明らかになった。5月の生産額である約600億円からV字回復したものの、昨年6月の航空機生産額は約1570億円だったことから約25%縮小した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けている様相だ。
 国内航空機生産は今年3月の段階で2248億円あったものの4月に急速に縮小。4月の生産額は723億円(前年同月:1364億円)と1000億円割れにまで急落。5月にはさらに600億円(同:1234億円)にまで落ち込むなど、1ヵ月あたりの生産額が対前年比で約50%減少していた。そのため6月の生産額は、4月と5月の生産額と比べると、大きく持ち直した感がある。
 それでもこの回復力に持続性があるかといえば、懐疑的な見方が強い。航空業界を取り巻く環境をみてみると、依然として各国政府が講じている厳しい検疫体制と出入国制限といった防疫対策が継続しており、航空会社の運航ではとくに国際線の運航再開は見通しが立たず、航空会社各社の財政状態が悪化するという悪循環を招いている。一部の国・地域の国内線は需要が回復しつつあるものの、新型コロナパンデミック以降、既に約8ヵ月が経過した現在でも、座席供給量がコロナ危機発生以前の1月水準の30%未満に留まっている地域もみられるなど、航空会社の回復の道のりはまだまだ先行きが長そう。
 こうした航空会社の深刻な財政的打撃は、ボーイング、エアバスといった機体メーカーの新規受注獲得にも多大な影響を及ぼしており、ボーイング、エアバスともに各機体プログラムの生産レートを大きく落とさざるを得ない状況となっており、日本の航空機産業、とくに民間航空機製造分野で大きな影響をしばらく受けることになる。

 製造生産額、6月は防需増加も民需大幅減
 防需生産額は9%増、民需は40%減
 修理生産額、約8%増の149億円
 機体・エンジンともに防衛需要拡大
 尾を引くボーイングら機体OEMの減産影響

※グラフ=日本国内の航空機生産額推移