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2020.09.25

WING

空港が元気な姿を取り戻すまで一歩一歩前進―成田国際空港長:鈴木英治

【空の日特別寄稿】 成田国際空港においても、新型コロナウイルス感染症拡大により発着回数、旅客数とも大幅減となりました。国際線貨物便は臨時運航による増加はあったものの、今年上半期全体では発着回数は前年同期の6割程度、旅客数は4割程度でした。特に第2四半期は発着回数が3分の1程度に減少したため、4月12日から7月21日までの間B滑走路を閉鎖しました。再開後も想定したほどの需要には届かず厳しい状況にあります。
 このような中、例年多くの方が来場される成田空港空の日イベントですが、今年は集客を伴うものは中止とし、空港で働く人たちの仕事紹介や空港の歴史、紙飛行機教室等の空港に関連する動画配信、空港に携わる関係者への応援メッセージの募集の2点のみの実施となりました。応援メッセージは空港関係者に展開するとともに、空港の展示スペースにも掲示しています。空港そしてここで働く人々へ向けての心温まる言葉を多数いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
 一方、この9月には空港内に新たなシンボルとして、エプロンを走行する航空機の誘導や飛行場面管理等のランプコントロール業務を行う「ランプセントラルタワー」(高さ約60メートル、写真左端)が旧管制塔横に完成し、9月10日から運用開始しています。しかし、1978年の開港以降空港を支えてきた旧管制塔は今後撤去されることになり名残惜しい限りですが、空港が元の姿を取り戻す歩みをしっかりと見守っていてほしいものです。
 空港においては、withコロナ時代における感染拡大防止と空港機能の両立を図るため、ガイドラインに沿った感染予防対策はもちろんのこと、セルフサービス型の搭乗手続き(ファストトラベル)の拡充や顔認証による非接触型搭乗手続き(One ID)の導入への取組みを図っています。また、中長期的な航空需要に対応するための年間発着回数50万回に向けた機能強化についても着実に進められています。
 国際線が主力である成田国際空港が元気な姿に回復するまでの道程が厳しいことは否めません。しかしながら、会社の垣根を越えて地上スタッフ合同での出発機の見送りや機材の有効活用として成田発着の周遊フライトの実施等関係者の創意工夫と努力によって空港全体が少しでも明るくなる話題も提供されています。また、国際旅客便の一部再開の動きもあり、徐々にではありますが空港関係者一丸となっておもてなしの気持ちを忘れずに歩みを進めています。(成田国際空港長 鈴木英治)

 

※写真1=成田空港事務所の鈴木英治空港長

※写真2=左のタワーが新たに設置したランプセントラルタワーで、中央のランプタワー(旧管制塔)は取り壊すことが決定している。右のタワーが現管制塔になる