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2020.09.30

WING

日本のど真ん中でモノづくりを支える国際空港

―中部国際空港長:井ノ口 寛

【空の日特別寄稿】 中部国際空港の旅客数と発着回数は、2012年をボトムに減少傾向に歯止めがかかり、2019年度はそれぞれ1260万人、11.2万回強まで増加して、過去最高を記録しました。これは前年比102%という伸びでした。今年2月に開港15周年を迎えたセントレアにとって、新たなステージに進むと思われていたところ、新型コロナウイルスにより急ブレーキがかかり、一層の伸びが実現できなかったことは本当に悔やまれます。
 あまり広く知られていませんが、愛知県を中心とする中部圏は、日本のモノづくりの拠点として、日本経済を支えています。愛知県の県内総生産(GDP)は40兆円を超え、全国シェアが7.4%と第二位であり、中部圏全体でも約19%を占めています。特に自動車産業は誰もが知るトヨタがあり、航空機産業でもスペースジェットの開発やボーイング787の主力部品製造で活躍しています。これに次ぐ「第三の柱」としてロボット産業の集積も進んでいます。こういった製造業を支えるのはやはりヒトです。技術者やビジネスパーソンの往来がキーであることは当然ですが、東京都に次いで2番目に在留外国人が多い愛知県にとっては、就業している外国人も要であると言えます。
 残念ながらコロナ禍で、セントレアでは4月1日に国際線旅客便が全便運休となり、国際的なモノとヒトの流れが滞ってしまいました。4月から7月の実績では、国際線旅客は前年比で0.1%にも届きませんでした。6月中旬から国際線が再開したものの、9月時点で週2便にプラスアルファくらいで、まずはビジネスとレジデンストラックによる海外との流れを、セントレアから回復することを目下の優先目標としています。そのために不可欠な検疫体制の拡充に向けて、空港会社、航空会社、関係官庁とこれまで以上に連携して取り組み、着実に国際的な人の往来の再開を実現させ、中部圏経済に貢献することを目指しています。
 その一方で、国内線は徐々にですが旅客が戻ってきています。多くの方に早く戻って来てほしいという願いと、また戻ってこられた方には感謝の気持ちを伝えようと、お客様向けのメッセージ動画「セントレアへようこそ」を作成し、9月末までターミナルビル4階の大型ディズプレイと公式SNSなどで流しています。現場のスタッフからのメッセージのなかに、「空の安全・安心」を守る中部空港事務所の管制官などの職員も混じっていますので、ご覧ください。(中部国際空港長 井ノ口寛)

 

※写真1=中部空港事務所の井ノ口寛空港長

※写真2=セントレアでは、メッセージ動画をつくって、戻ってきた旅客に感謝の意を伝える