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川崎重工、海底パイプライン検査用AUVの実証試験へ
スコットランドの実験機関と試験の基本合意に調印
川崎重工はこのほど、英国スコットランドの海上試験場「The Underwater Centre」(TUC)と、世界初の海底パイプライン検査用ロボットアームを備えた自律型無人潜水機(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)プロトタイプ機の実証試験を、今年10月に実施することに関して基本合意した。
このAUVは海中での充電や収集した検査データの母船への転送などによる海中作業の長時間化を可能としつつ、海底パイプラインを自律的に認識・追跡し、土砂などに覆われた状態でも目標物を見失うことなく、至近距離から検知し続けるもので、2020年度の商用化を目指しているという。
川崎重工は海底石油・ガス分野でのパイプラインのメンテナンス需要増加に注目し、長年培った高度な潜水艦艇関連技術を発展させ、AUVの先進的要素技術の開発に取り組んでいる。
同社は昨年11月、TUCで海中でのAUVプロトタイプ機と充電ステーションの自動ドッキングや非接触充電および大容量光通信の実証試験に成功している。
今回の実証試験では、同社の技術シナジーを駆使して開発中の検査ツールユニットを先端に搭載したロボットアームをAUVに装備し、海中でのパイプラインを自律的に認識・追跡する予定。AUVが潮流の影響を受けてもロボットアームがAUVの動きを吸収し、検査ツールユニットをパイプラインに近接し続けるトラッキング技術の実証を行う予定。
なお、英国のスコットランドは、世界の海洋開発をリードしている地域の一つで、海洋開発・天然ガス分野での新たなイノベーションの創出に注力している。今回のTUCとの基本合意際しては、来日中のスコットランド政府のフィオナ・ヒスロップ(Ms. Fiona Hyslop)文化・観光・対外関係大臣の立会いのもと締結し、フィオナ・ヒスロップ大臣は、AUVに対する強い期待を寄せた。同相によると、2017年1月に発足したスコットランド政府のサブシー産業計画は、国際石油・ガス市場だけでなく、再生可能エネルギーや深海採掘を含む他の事業分野への多角化を支援する重要なものという。川崎重工がこのサブシー産業計画にマッチする革新的な技術開発をスコットランドで進めることを歓迎した。
また、川崎重工によると、基本合意には、同社の水中機器技術開発に関し、将来的にも協業していくことが盛り込まれているという。同社は、今回の基本合意を機に、スコットランド政府およびTUCとの関係性を強化していくことで、AUVをはじめとする水中機器技術の開発を促進していく考え。
※写真=基本合意調印セレモニー。左より富田健司・川崎重工取締役副社長執行役員、フィオナ・ヒスロップ・スコットランド文化・観光・対外関係大臣、スティーブ・ハムThe Underwater Centre取締役