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ロールス・ロイスはなぜ世界最速電動航空機開発に挑むのか?
目指すは「持続可能な航空」、技術開発のドライバーに
ロールス・ロイスは世界最速の全電動機を開発する「ACCEL(アクセル)」プロジェクトに取り組んでいる。その目標は時速300マイル(時速約482km)。全電動航空機のこれまでの世界最速記録は、2017年に記録された時速212マイル(時速約341km)で、それから3年あまりの間に約100マイル上回る速度で飛行する全電動航空機を開発に挑む。この野心的な目標に向けて、先ごろ実寸大レプリカ「イオンバード」を使った地上試験が先ごろ完了したばかり。航空機エンジン・メーカーであるロールス・ロイスが、何故あえて世界最速の全電動航空機を開発に挑むのか。そこにはロールス・ロイスにおける「持続可能な航空」(サステナブル・アビエーション)への強い想いが現れている。
本誌の取材に応じたロールス・ロイス「ACCEL」プロジェクトマネージャーのマシュー・パー氏は、「11月後半にも機体となるスピリット・オブ・イノベーション号に搭載する」とし、「2021年初頭には、次のステップとして飛行することを計画している」ことを明らかにした。今後まずはロールス・ロイスのフライトオペレーション担当チームと共に、フライトプログラムの作成に乗り出す。現状、世界記録への挑戦を前に、20フライトの飛行試験を行う計画で、この飛行試験を通じて更なる改良開発を進める。世界記録への挑戦については、「恐らく英国で実施することになるだろう」とし、「3km、15kmといった距離および3000メートルへの上昇タイムでフライトすることになる」と説明した。・・・
今年1月からイオンバードにシステム統合
パイロットやエンジニアがコクピットでモニタリングも
重要な鍵はシステム統合とバッテリー
750超のシステム統合、電池はムラタ製
熱暴走など封じ込めに5層の防御システム
6000セルを個々にモニタリングなど
※写真=ロールス・ロイスは世界最速の全電動航空機の開発を目指す。来年初頭には飛行する。写真は地上試験に投入された「イオンバード」(提供:ロールス・ロイス)
※写真=最速記録を塗り替えることに自信も。ただ、見据える先は「持続可能な航空」だ(提供:ロールス・ロイス)
※写真=ウェブ取材に応じたロールス・ロイス「ACCEL」プロジェクトマネージャーのマシュー・パー氏