世界の航空会社供給量、今冬は昨冬比で約3分の1

OAG、「今年残り期間厳しい。楽観視する理由なし」

　英国でフライトデータサービスなどを提供するOAGアナリストであるジョン・グラント氏は、「現時点で予定されている今冬の座席供給量は、昨年冬シーズンの3分の1程度だ。とくに西ヨーロッパ、東南アジア、中東などの主要市場では、予定キャパシティはさらに低くなっている」として、現在計画されている座席供給量は、昨年冬を大きく下回っていることを明かした。
　新型コロナウイルスの感染拡大で路線ネットワークが崩壊した状態がすでに半年以上続き、世界の航空会社が発表する各社の決算にはため息が出るばかり。一般的に航空業界は”北半球の夏場で稼ぎ、冬場の需要低迷期を耐え忍ぶ”構造になっており、コロナ禍で国際線の運航が90％止まっているなかにあって、今冬の航空業界は想像を絶する厳冬になりそうだ。
　グラント氏も「2020年の残りの期間に向けての我々の予想は厳しいものだ」とし、「今のところ楽観的に考える理由はない」とした。さらに「航空会社は自らコントロールすることができない問題に囚われており、一方でコントロールできる人たち（各国政府）は問題を解決する方法を考えていない」と持論を展開。各国政府が講じている国境封鎖や到着時検疫などといった措置を暗に批判した。・・・

座席供給量の減少継続、前週比で1％減
再び5700万席を下回る供給水準に

※写真＝今冬における世界の航空座席供給量の回復は厳しい。現時点で計画されているのは昨年冬に比べて約3分の1に留まるという（提供：OAG）

※グラフ＝新型コロナ危機が顕在化した1月以降の座席供給量推移（提供：OAG）