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2020.11.18

WING

ロールス・ロイス、ヘビ型ロボでエンジン点検・修理

「REINSTATE」プログラムで20項目の将来技術開発

 ロールス・ロイスが航空機のエンジン内部を点検・修理することができるヘビ型ロボットの開発に乗り出した。ロールス・ロイスによれば、このヘビ型ロボを活用することで、従来のボアスコープではアクセスしにくかったエンジン内部にアクセスすることができるようになるとし、エンジン深部の複雑な箇所の検査作業はもちろん、修理することまで可能になるとの見通しを示した。
 このヘビ型ロボットシステムは、英国ノッティンガム大学と協力して開発に取り組んでいるもの。ヘビ型ロボットがエンジン横のアクセスポートにはまるよう、その直径を小さくする工夫を施す。さらにロボットをエンジン深部まで届く全長とすることで、エンジンのどこにいるのか、どの経路を通ったのか把握することができるようにする。さらにはロボットが自重を支えることができる技術を適用することで、ボアスコープではこれまで届きにくかったところでもアクセスを確保する。
 このヘビ型ロボットによるエンジン点検・修理技術の開発は、英国の航空技術研究所(ATI)における官民共同プログラムを支援を得るかたちでロールス・ロイスが進める「REINSTATE」プログラムの一環だ。同プログラムは未来の航空サービス技術の実現を目指すもので、20項目におよぶ技術の実用化を目指している。
 プログラムでは航空会社が抱える課題に対して、ロールス・ロイスのエンジニアが技術開発に取り組むほか、これまで廃棄していた部品を修理して再利用することができるようにするなど、環境負荷軽減に向けた技術開発に取り組む方針だ。
 またロールス・ロイスは「REINSTATE」プログラムを通じて、二酸化炭素の排出量削減にも寄与する可能性があるとしており、人や部品の移動の削減、燃費向上、不要な保守管理作業の削減、不必要な部品の削減を通じて大きなCO2の削減を期待することができるとの見方を示した。
 その効果については現在外部で検証を進めているとし、様々な技術の研究開発段階からもう一歩踏み込んだ段階で最終的なターゲットを設定する予定にあるとした。
 さらに、こうした技術の一部は多様な用途に使える可能性があるとし、航空エンジンのみならず、自動車、原子力発電、オフショア再生可能エネルギー、農業などといった幅広い産業のメリットに繋がることを示唆。同プログラムで開発を進める小型の化学分析ツールは人間の立ち入りが制限される原子力発電所で活用することが可能なほか、ハイテクカメラとアルゴリズム分析でセキュリティや洋上風力発電など多様な分野で部品の損傷特定に活用することができるとの見方を示した。

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