記事検索はこちらで→
2020.11.30

WING

航空自衛隊観閲式で菅総理「縦割り廃止」強調

部隊の垣根超える新領域対応重視、さらなる進化へ

 防衛省・自衛隊は11月28日、航空自衛隊入間基地で航空観閲式を開催し、菅義偉内閣総理大臣および岸信夫防衛大臣が自衛隊航空戦力を閲覧した。航空機をはじめとした航空自衛隊装備を閲覧した菅総理は隊員への訓示で、新領域への対応を重視して「組織の縦割りを排し、陸・海・空自衛隊の垣根を越えて取り組むことが重要」だと強調。さらに、自衛隊を更に進化させていくことを強く望むとして、「特別チームのように新たな任務に果敢に挑戦してほしい」と話した。
 菅総理は、日本を取り巻く安全保障環境が近年厳しさを増し、自衛隊が従来活動していた陸・海・空だけではなく、宇宙・サイバー、電磁波といった新領域での対応が重要になると説明した。新領域能力を獲得・強化することで、様々な組織をつなぎ、自衛隊が目指す多次元統合防衛力を実現させることができる。そうした新しい戦闘を行うような局面では、それぞれの組織のみで対処することがますます困難になるとして、菅政権が特に力を入れる縦割りの廃止を強調した訓示を述べた。
 観閲式は毎年、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣が日本の防衛力を閲覧するため、陸・海・空の3自衛隊が持ち回りで実施している。2020年度は航空自衛隊による観閲式で、従来では百里基地で実際に航空機を飛行させて、航空戦力を披露してきたところ。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大影響で、部隊や観客が密集してしまう航空機の飛行が中止に。場所を入間基地に移して地上展示のみという、コンパクトなかたちでの開催となった。
 ただし、部隊が一堂に会するような大規模な催しは、感染症影響下でなくとも開催側の負担が大変大きいもので、自衛隊ではコロナ禍から回復した後にも、コンパクトなかたちでの開催を標準化させたい考えだ。前防相だった河野太郎氏(現行政改革担当国家公務員制度担当内閣府特命担当大臣)は当時、観閲式を1ヵ所に集まって行うのではなく、各基地や駐屯地などを見ていくようなかたちの検討も示していて、今後の陸上自衛隊・海上自衛隊でも観閲式・観艦式の縮小化が進むと見られる。

 豪雨災害が感染症対応での派遣隊員を評価

※写真=航空自衛隊装備の閲覧の様子。今年度退役するF-4EJ改に乗り込んだ菅総理