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2021.01.05

WING

精強・即応・変化への適合

海上幕僚長 山村浩海将

 皆様、新年おめでとうございます。また、旧年中は海上自衛隊に対し、賜りました数々の御支援・御協力に深く感謝いたしますとともに、新年の御挨拶を申し上げます。
 さて、昨年から感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症は、各国の社会経済全体に影響を及ぼしており、国際社会が連携して対応すべき課題となっています。一方で、わが国周辺の安全保障環境に目を向けると、周辺には、質・量に優れた軍事力を有する国家が集中し、軍事力のさらなる強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著となっています。
 このような情勢の中、海上自衛隊は、「変化への適合」を図りつつ、我が国の平和と安全を守るとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現のため、活動を継続してまいりました。
 中東・ソマリア沖・アデン湾方面においては、従来の海賊対処活動に加え、昨年1月から情報収集活動を開始し、当該海域で護衛艦2隻及び哨戒機2機が常時活動を継続しています。
 また、コロナ禍において、遠洋練習航海部隊が北極圏を航行し、海上自衛隊は、その歴史において、7つの海すべてを航行することとなりました。
海外での活動が最も多かった9月には、北極圏、ハワイ、グアム、そしてインド洋方面と、4方面に同時に部隊が展開し共同訓練等に参加しました。これに中東・ソマリア沖・アデン湾方面における活動を加えると、コロナ禍において、一時的ではあるものの、約2800名もの隊員が日本国外において活動をしていたこととなります。
 装備や施設といったハード面としては、昨年10月に新型潜水艦「たいげい」及び、新しいタイプの護衛艦「くまの」が進水するとともに、海上作戦センターが開所し運用を開始しました。
 海上自衛隊は、我が国を取り巻く環境の変化に対して柔軟な思考をもって適応すべく、「精強・即応・変化への適合」の旗印の下、引き続き誇りある任務・業務を進めていく所存ですので、本年も皆様からの御支援・御協力をよろしくお願い申し上げます。
 結びに、皆様のご健勝及びご多幸を祈念して、新年の御挨拶とさせていただきます。

 

※写真=海上幕僚長の山村浩海将(提供:海上幕僚監部)

※写真=「くまの」の進水式(提供:海上自衛隊)