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2021.01.06

WING

エアバス・ジャパン、次世代機で「日本企業参画を2割に」

ジヌー社長、短期的に機体需要減退も「連携強化の活動拡大を」

 エアバスが機体開発・製造プログラムにおける日本企業との協業拡大を深掘りすべく、日本市場における活動を拡大する。エアバス・ジャパン代表取締役社長兼エアバス・グループ日本代表のステファン・ジヌー氏が本紙の取材に応じて、「次世代機では日本のワークシェアを2割以上に引き上げたい」と目標を掲げた。
 「日本においてはサプライチェーンに関して、徐々に日本企業のエアバス・プログラムへの参画比率を上昇させていきたいと考えている」とし、「(コロナ影響で)機体需要が落ち込んでいるからといって、その活動を停止することはない。むしろ活動を拡大させていきたいと考えている」と話すなど、協業深化に向けた話し合いを継続・拡大していく方針を明かした。
 日本の航空機産業はコロナ禍にあって青息吐息だ。日本の航空機産業が共に成長することを掲げてきたボーイングは737MAX問題に揺らぎ、そこに追い打ちをかけるように新型コロナウイルスのパンデミックが発生。民間航空機部門を中心に経営の屋台骨が大きくグラついている。
 新型コロナ禍にあって航空会社の懐事情は急速に寒いものとなり、新型機の受領先送りや新規発注を控える傾向が強い。そのためボーイングは各プログラムの生産レートを大幅に見直しており、日本企業がワークシェア35%を有する787プログラムに至っては、コロナ禍前の月産14機体制から一気に月産5機へと減産することが決まった。
 ボーイング・プログラムにおける大幅な減産影響は、毎月の国内航空機関連生産額の数字に如実に現れており、仮にこのままの状態で推移すれば、2020年4月から2021年3月までの年度ベースの航空機生産額は1兆円の大台を割り込む公算が高く、まさに緊急事態だ。ちなみに新型コロナウイルス感染拡大の影響が国内で本格化前の2019年度累計の航空機関連生産額は約1兆8692億円に達していた。
 一方、エアバスといえば、日本との産業拡大に従来から力を入れて取り組んできた。かつてA380プログラムがスタートしようとする際、エアバスは日本企業に向けてワークシェア10%を提案した経緯があるが、当時、日本企業は787プログラムや国産機開発プログラムに掛り切りで、エアバスの提案を受けることはできず。日本企業は従来から続いてきたボーイング民間航空機プログラムとの蜜月を崩すことなく、いわば「ボーイング一本足」といえる産業構造を構築してきた。
 しかしながら、ここに来て転機が訪れつつある。ジヌー社長を筆頭にエアバス・ジャパン陣営が長らく日本産業に呼びかけ続けてきた連携拡大の波が、ついには国をも動かした。・・・

 

DX推進に日本企業参画のチャンスあり
DX9分野に注目、日本のエコシステムにも注目

 

F2後継開発、試験・シミュレーションで支援可能
欧州FCAS技術一部を日本の将来戦闘機にも

 

コロナで受注47%減も納入は413機
キャンセル数は昨年より100機少ない

 

日本市場、200席以上の単通路機需要拡大
成熟市場も脱炭素化・機体更新が鍵か

 

「我々の使命は航空機で人を繋ぐ事」

 

※写真=エアバス・ジャパンのエアバス・ジャパン代表取締役社長兼エアバス・グループ日本代表のステファン・ジヌー氏。日本との産業連携拡大を虎視眈々と狙う。ボーイングの民間機生産がガタ落ちするなか、日本企業としてもエアバスとの連携拡大は生き残りのためにも必至か(提供:エアバス)

※写真=新型コロナの影響で受注は一昨年より47%減少するも、意外なことにキャンセル数は100機少ない。写真はA350XWBの組立ライン