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2021.02.01

WING

ANAHD第3四半期決算、純損益3095億円の赤字に

コロナ第3波で通期見通し前提崩れ下方修正も視野

 ANAホールディングスが1月29日に発表した2021年3月期第3四半期決算(2020年4月~12月)によると、四半期累計の純損益は3095億円の赤字(前年同期:864億円の黒字)となった。売上高は66.7%減少した5276億円に留まった。費用面では生産量の最適化や変動費抑制、さらには固定費削減などに取り組んだことで39.1%減少した8900億円に抑制。これにより、営業損益は3624億円の損失(同:1196億円の営業黒字)となり、経常損益は3507億円の損失(同:1225億円の黒字)となった。
 足元では新型コロナウイルス感染第3波が列島に拡がり、ANAの航空事業にも大きく影響している。ANAホールディングスは第3四半期決算発表で通期業績予想を据え置いたが、一方で同社を取り巻く環境は大きく変化している。
 ANAホールディングスが昨年10月27日に発表した中間決算における通期見通しでは、同社の片野坂真哉社長が年度末に国内線で7割、国際線は5割まで旅客需要が回復していること見込むとしていたが、国内線需要は回復どころか再び減少に転じており、国際線に至っては厳しい出入国規制が続いている。そのためANAホールディングスの通期業績予想の前提は、脆くも崩れ去ってしまった様相だ。
 同日、ウェブ会見に臨んだANAホールディングスの福澤一郎取締役常務執行役員は、「(国内線旅客数の)前提が大きく変わろうとしていることは事実だ」と認めた。国際線旅客事業についても、「現状では移動制限が解除されていない。やはり5割の前提が大きく崩れるということを覚悟しなければならない認識を持っている」として、通期業績予想の下方修正に踏み切る可能性を示唆した。
 なお、ANAホールディングスの通期業績予想では、売上高が前年同期比62.5%減少した7400億円に、損益面では営業損益が5050億円の赤字、経常損益も5000億円の赤字、そして当期純損益は5100億円の赤字を見込んでいる。

 

営業CF、第3波で年度内プラス化は困難に
四半期毎に堅調な改善もコロナ第3波影響

 

国際線旅客収入、96.3%減の323億円
国内線旅客収入も71.7%減の1563億円に

 

LCC事業収入、76.1%減の153億円

 

国際貨物事業好調、10-12月単独で過去最高更新
輸送量36%減少も単価が2.5倍に膨らむ

 

旅行事業、ツアー中止で営業損失47億円
商社事業もリテール部門など大苦戦で営業損失30億円

 

※写真=ANAホールディングスが発表した第3四半期決算は3095億円の赤字となった。感染第3波によって通期業績予想の前提となる国内線・国際線旅客需要の前提が崩れ去っている