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2021.03.18

WING

最後のオリジナルYS-11退役、飛行点検隊で最終飛行

50年の歴史に幕、有終の美を飾る優雅な飛行を披露

 航空自衛隊入間基地の飛行点検隊は3月17日、YS-11FC飛行点検機のラストフライトセレモニーを実施した。飛行できるYS-11の中でも、ダートエンジンを備える最後のオリジナル機として有終の美を飾った。戦後日本の航空機産業の象徴ともいえるYS-11だが、同機は量産機として世界で最初に納入され、さらに最後まで飛行した機体となった。これまで50年以上にわたって飛び続け、日本の高い技術と優れた維持・管理能力を証明してきた。航空自衛隊の飛行点検機としてだけではなく、戦後初の国産航空機として、一つの時代が終わりを迎えることとなったが、新たにU-680Aの導入が進んでおり、すでに新たな時代へ向かって歩みを進めている。
 ラストフライト当日の飛行は、入間基地上空での訓練飛行。飛行点検の実際の動きを模した飛行を行うもの。搭乗する5人のクルーがYS-11FCへ乗り込んで飛行準備に取り掛かる。程なくエンジンが回り出すと、ダートエンジン特有の「ブーン」という音と甲高い金切り音が響き渡り、滑走路へ。勢いよく滑走を始めると、滑走路中央から離陸した。
 離陸したYS-11FCは滑走路上空で、訓練飛行を約1時間かけて行った。飛行点検の任務では、無線施設など地上施設が正常に働いているか確認するため、様々な軌道で飛んで点検を行う。そこでYS-11FCは旋回や8の字飛行など軽快かつ優雅な動きを見せたかと思えば、滑走路に沿って上空約30メートルを低空飛行するなど、まだまだ現役で飛行できる勇姿を披露した。ひととおりの飛行を終えて地上へ戻ると、ラストフライトを祝福する放水アーチをくぐりランプイン。降機したクルーが飛行点検隊司令の新崎秀樹1等空佐へ申告すると、新崎司令は「YS-11FCの有終の美を飾るに相応しい飛行だった」と労った。航空機ファンや関係者だけでなく、多くの人に愛された国産機は、華々しく最後の花道を飾った。
 ラストフライトの機長を務めた渡邉潤一3等空佐は記者団のインタビューに応じ・・・・・・・・・。

 当初輸送機として活躍した51号機
 後任のU-125、U-680Aへバトンタッチ

 全自衛隊の航空施設を評価・判定
 陸・海・空163施設へ年300回点検

※写真1=独特のエンジン音を響かせて最後のフライトを行う飛行点検隊のYS-11FC。現有するオリジナルのYS-11としては最後の機体で、自衛隊が導入した同型機として最初の機体となる。このほど約50年にわたる飛行に幕を下ろした