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2018.08.07

WING

JAXA、月着陸実証機打ち上げを一年後ろ倒しへ

21年度打ち上げ、イプシロンからH-IIAに搭載に変更

 

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、開発を進めている小型月着陸実証機(SLIM)の計画の一部を見直すことを決めた。これまでSLIMはイプシロン・ロケットによる単独打ち上げを計画していたものの、計画を見直してX線分光撮像衛星(XRISM)との相乗りでH-IIAロケットで打ち上げることにした。XRISMはX線天文衛星(ASTRO-H:「ひとみ」)の後継ともいえる衛星で、当初は2020年度に打ち上げる計画だったが、開発の遅れにより1年後ろ倒しした21年度に打ち上げる。これによりSLIMの打ち上げ計画も、約1年後ろ倒しすることになった。
 SLIMの計画の観直しは、ASTRO-Hで発生した通信することができないという異常運用を踏まえ、より開発を目指して開発を進めたことによるもの。その後の検討の結果、SLIM探査機自体の質量が増加することが見込まれているとし、イプシロンロケットによる打ち上げ質量成立性にリスクが生じたためと説明している。
 JAXAが進めてきた検討の結果、技術実証時期が遅延するというデメリットはあるものの、より確実なSLIMの開発が可能となることなどから、打上ちげ手段を「代替機との相乗」へと変更するべきと判断。現状、SLIMで実現する小型軽量探査機に限らず、重力天体への高精度着陸を実現した宇宙機は依然として存在せず、SLIM技術実証時期までに実現すると見込まれる確実な計画も、見当たらないとしており、世界初の重力天体への高精度着陸というSLIMの意義には変わらないとしている。

 

※画像=月着陸探査機の打ち上げ計画を一年後ろだおしへ(提供:JAXA)