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2018.08.21

WING

群馬県防災ヘリ墜落、事実ではない飛行計画を提出

捜索救難活動開始に47分の遅れ発生

 去る8月10日に群馬県防災航空隊所属の「はるな」(ベル412EP:JA200G)が、群馬県吾妻郡中之条町の山中に墜落した事故で、国土交通省は事故機が航空局に事前に申請した飛行計画以外の場所に離着陸し、搭乗していたことを明らかにした。航空局によれば、仮に離着陸を含む飛行計画が通報されていれば、47分早く捜索救難活動を開始することができたとしている。この事故で搭乗していた9名全員の死亡が確認された。
 「はるな」の墜落事故を受けて群馬県の大澤正明知事は8月11日、「文字通り身命を賭して数多くの人命を救ってきた群馬県防災航空隊員4名及び吾妻広域消防本部職員5名の尊い命が失われたことは、誠に痛恨の極み」とし、「お亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、御遺族並びに関係者の皆様に、心からお悔やみを申し上げる」とのコメントを発表。「二度とこの様な事故が起きないよう隊員の安全確保を図るとともに、県民生活の安全・安心のために、しっかりと取り組んでいく」としている。
 なお、事故機を運航していたのは東邦航空。東邦航空といえば、2017年11月8日に、同社のJA9672号機が群馬県上野村藤沢橋上に墜落して、大破・炎上する事故を起こしたばかり。JA9672号機の墜落で操縦士と整備士(計4名)が死亡した。その後、今年2月2日には東京航空局が同社に対して、規程に即していない整備の実施や航空日誌に必要事項が記載されていなかったなどとして、業務改善命令が発せられるなど、このところ度々問題を起こしている。
 東京航空局に通報されていた「はるな」の飛行計画では、群馬ヘリポートを飛び立って、途中で離着陸をせずに約2時間のフライトを実施する計画していた。しかし実際に当日予定していた飛行概要によれば、群馬ヘリポートを飛び立って15分のフライトの後、西吾妻福祉病院に着陸して搭乗者を乗せ、5分後には離陸して、約1時間20分ほど山中をフライトすることを計画。山中をフライト後、西吾妻福祉病院に着陸し、その後基地である群馬ヘリポートへ帰投する予定だった。つまり、航空局に通報していた飛行計画にはない、飛行計画以外の場所(西吾妻福祉病院)への離着陸を予定していたことになる。