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空自に初の女性戦闘機パイロットが誕生
第5航空団配属の松島2尉、模範となる操縦者目指す
航空自衛隊に初の女性戦闘機パイロットが誕生した。宮崎県・新田原基地の 飛行教育航空隊は8月23日、松島美紗2等空尉を含む6名の第109期戦闘機操縦課 程(F-15)修了式を行った。松島2尉は、同じ新田原基地の第5航空団に配属さ れ、早ければ半年から1年のうちに対領空侵犯措置(スクランブル)の任務に 就くことになる。会見では、「戦闘機パイロットを目指したい、と思われるよ うな模範となるパイロットになりたい」と、戦闘機操縦者としての意気込みを 述べた。
航空自衛隊では、1993(平成5)年に操縦職域を含むすべての職域を女性に 開放したが、戦闘機および偵察機の操縦職域のみを制限していた。それは 2015(平成27)年11月から解放されることとなった。それまで戦闘機・偵察機 の操縦職域を制限していた理由としては、操縦時にかかる重力加速度(G)が 女性の身体へ影響を与えることが懸念されたため。さらには、家庭の事情によ る離職によって、育てたパイロットがいなくなってしまう経済的効率性を考慮 したためだ。航空自衛隊では、海外での女性パイロットの事例や、自衛隊とし て産休や育児のフォロー体制が充実してきたことなどを踏まえ、検討を重ねた 結果、全職域の解放に至った。
松島2尉は、戦闘機・偵察機の操縦職域が女性に解放される以前から、戦闘 機パイロットへの夢を抱き、訓練を積み上げてきた。2014(平成26)年3月に 防衛大学校第58期生として卒業し、幹部候補生学校を経て、2014(平成26)年 9月から航空教育集団司令部付学生として第12飛行教育団で飛行準備課程を履 修。2015(平成27)年2月から防府北基地でT-7による初級操縦課程での飛行教 育を履修した。この時点では、戦闘機の操縦課程に進むことはできなかった が、戦闘機パイロットへの道を諦めず、まずはウイングマークを取得するた め、2015(平成27)年8月に、輸送機・救難機のコースであるT-400による飛行 教育を履修し、美保基地の第3輸送航空隊に配属。2016(平成28)年10月に は、ウイングマークを取得した。そして、航空教育集団司令部付の学生となっ て、女性戦闘機操縦要員候補者として、戦闘機コースに必要なT-4への機種転 換操縦課程講習および訓練を行い、2017(平成29)年10月から新田原基地での 戦闘機操縦(F-15)課程を行い、晴れて戦闘機パイロットとなる夢を実現させ た。
現在航空自衛隊では、松島2尉に続くため、戦闘機パイロットを目指す女性 隊員3名が、T-4による戦闘機の基本操縦課程での訓練を行っている。松島2尉 によって、航空自衛隊による女性戦闘機パイロットの道が拓かれた。今後も新 たな道を切り開くパイオニアとして、期待がかかる。