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東京をエアモビリティ都市に、空飛ぶ車官民協議会が始動
「安全」担保と開発・制度設計の「スピード感」両立が鍵
モビリティ革命として世界的に注目度の高い空飛ぶクルマを日本国内でも実現させようと、『空の移動革命に向けた官民協議会』の第1回目の会合が、8月29日に都内で開催された。この協議会には空飛ぶクルマの開発に取り組むスタートアップ企業のほか、米国で空飛ぶクルマの開発とサービス開始を目指す配車サービス大手のUber、さらには日本国内のエアラインや電機メーカー、そしてエアバス、ボーイング、ベル・ヘリコプターらが参加。国土交通省、経済産業省、総務省といった関係省庁や有識者を交えて、年内に空飛ぶクルマ実現に向けたロードマップを策定することを目指す。なお第1回目の協議会では、空飛ぶクルマの開発メーカーなどから、自らの構想が披露され、今後の論点の方向性を議論した。今後、年内に2-3回程度の協議会を開催して、ロードマップを策定する計画だ。
会合に参加した空飛ぶクルマ開発メーカー側からは、諸外国において開発や制度設計に関する議論が先行していることに触れ、日本国内ではまずもってロードマップ策定など、「スピード感が大事」であることを強調する声が挙がった一方、有識者からは「いきなり都市部で飛ぶことができるのか。そこはドローンのようにきっちりとステップを踏んで、ルールなりを整備していかなければならないのではないか」との声も。諸外国で進んでいるように、一足飛びに都市部で実証することは日本では困難で、ドローンのように段階を経て慎重に進めるべきとの意見も聞かれた。
また、「空飛ぶクルマを使わなければならないという必然性を説明できなければ、社会は受け入れない」との声も挙がっており、多様なユースケースが想定されるなかで、空飛ぶクルマの必然性や、この新しいモビリティが飛び交うどのような社会を作っていくのかということをイメージすることも、空飛ぶクルマ普及に向けた鍵となりそうだ。
ちなみに、空飛ぶクルマが飛び交う社会の突破口となりそうなのが、災害時の物資・人員輸送やや緊急搬送など。大規模災害の発生時にヘリコプターが多数飛び交うことはオペレーション上困難であり、かつ危険を伴うことから、制御された空飛ぶクルマが物資や人員輸送を担えば、空を有効活用することができる。こうしたユースケースを突破口として、エアタクシーなど、様々な用途へと利用を拡大していくことになりそうだ。