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丸紅、開発から退役まで、事業間でシナジー発揮
共同での資産購入、市場価格の情報など共有へ
航空機の開発から退役までの様々なフェーズで事業を展開する丸紅は、航空機・エンジンリース事業および部品トレード事業を注力分野と位置付け、各事業間でシナジーを発揮できる体制を築いていく考えである。航空・船舶本部副本部長兼航空宇宙・防衛システム部長の岡崎徹氏によると、丸紅の航空分野における各事業は、それぞれ好調に推移しているが、事業間でシナジーを発揮することで、同社の航空機事業をより成長させることが可能だという。
ここで課題となるのが、事業間のシナジーをいかに出していくかということ。1つの例として示したのは、部品トレードを行うマゼラン社と、スペアエンジンリースを行うトータル・エンジン・アセット・マネジメント社(TEAM)が共同で資産を購入するケースだ。マゼランが中古の機体を購入しようとする場合、エアフレーム部分をマゼランが購入し、エンジン部分はTEAMが購入する形をとれば、TEAMでは、エンジンを整備した上でリースへ回す前提で当該エンジンを取得するので、解体して販売する前提のマゼラン単独よりも全体として資産価値を高く見積もることができ、より競争力のある提案が可能になるという。
また、こうしたシナジーは、中齢機を多く扱う航空機リース会社のエアキャスルでも期待できる。リース満了後の機体をマゼランで取得し、解体・販売するなどの協力も今後考えられる。また、両社とも中古資産に強みを有しているため、中齢機の資産価値や市場価格について両社で情報共有が図れるとして、期待できる面が多い。
広胴機減らし狭胴機中心に
エアキャスル投資適格格付取得
エアキャスルで取り扱う機材の多くは、流動性が高く資産価値が安定しているA320や737などの狭胴機である。同社の保有機数は、今年3月末時点で222機、資産規模は67億ドルで、昨年よりも2億ドル増加した。丸紅が同社へ資本参画した2013年当時の保有機数164機、資産規模52億ドルから、1.3倍ほど規模が拡大したことになる。また、旧型の広胴機や貨物機の割合を減らす一方、流動性の高い狭胴機の割合を高め、資産ポートフォリオの質を高める取り組みを進めて来た。
こうした活動が認められ、今年5月には格付会社のS&PおよびフィッチからBBBマイナスの投資適格の格付を取得することができた。これにより、資金調達力が強化され、より安定的に低コストで資金を調達できるようになった。今後も航空機リース市場規模は拡大していくため、「拡大する市場のペースに合わせて、引き続き資産規模を拡大していきたい」という。
現在、航空機市場では737MAXやA320neoといった燃費に優れる新型の狭胴機が登場しており、エアキャスルとしても注目している。今年1~3月の第1四半期には、A320neo 8機を取得する契約を結んだ。また、エアキャスルと興銀リースの合弁によるリース事業では、若齢狭胴機を中心に引き続き資産拡大を目指していく方針は変わっていない。
エンジンリース事業のTEAMが保有するエンジン資産は、2017年度終了時点で22台、管理エンジンが3台といった状況。これを2018年度末までに「30台以上に持っていきたい」という。現在、CFM56をはじめとした狭胴機用エンジンの整備需要が非常に高く、今後5年間はこの状況が続くという見方を示した。これによりスペアエンジン需要も高まりエンジンリース事業には追い風となっている。数年後には50基まで資産を積み増す計画であるという。
※画像=エアキャスルはポートフォリオの質を高め、投資適格を得た(提供:丸紅)