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2018.09.03

WING

防衛省概算、防衛関係費5兆2926億円で最高額に

陸型イージス、F-15能力向上着手、次期戦闘機研究推進

 

 防衛省は8月31日、2019(平成31)年度概算要求を発表し、防衛関係費の要求額が前年度予算と比べて7.2%(3538億円)増加となる5兆2926億円で、過去最高の要求額となったことを明らかにした。特にこの概算では、イージス・アショアの新規整備に向けて、2352億円を要求する。弾道ミサイル防衛関連経費としては4244億円としているため、その半分以上を陸型イージスの配備で求めることになる。そしてF-15の能力向上として、JASSMなどスタンド・オフ・ミサイルの搭載を含む機体改修を2機101億円で実施する。これには設計変更など関連経費として別途439億円を要求する考え。さらに防衛装備庁の将来戦闘機に関する研究では、79億円で戦闘機としての各種能力を統合する研究の推進を図る。ちなみに、この概算要求におけるFMS調達は契約ベースの物件費として、装備品等購入費7986億円および航空機構入費2610億円のうち、6917億円になる。これは、2018年度予算よりも2815億円増となるが、主な原因はイージス・アショアの導入によるものだとする。
 2019年度概算要求の防衛関係費のうち、人件・糧食費は0.3%(59億円)増の2兆1908億円を要求することとし、物件費が12.6%(3479億円)増の3兆1017億円を求める。また、物件費のうち歳出化経費が17.4%(3057億円)増の2兆647億円で、一般物件費が4.2%(422億円)増の1兆370億円とした。新規後年度負担では、18.8%(3977億円)増の2兆5141億円であり、うち従来分が27.7%(5443億円)増の2兆5109億円で、長期契約分がPAC-3ミサイル用部品の包括契約として88.1%(240億円)減の32億円となった。さらに、SACO関係経費、米軍再編関係費のうちの地元負担軽減分、新政府専用機導入経費を含めた場合、防衛関係費は2.1%増の5兆2986億円、新規後年度負担は18.8%増の2兆5141億円の要求となった。
 防衛省はこの度の概算要求で、厳しい安全保障の中、現実に真正面から向き合った防衛体制を構築することとして、防衛力を大幅に強化することを目的とする。さらに、新たな領域を横断的に活用するクロス・ドメインを実現できる防衛力を構築する考え。また、パートナー国やASEAN諸国などとの防衛協力が、日本と地域の平和と安定の維持に有効だとし、それを進化・発展させる防衛力を構築する。そのため、日本の人口動態、諸外国の軍事行動、将来の技術動向も捉える必要があるとして、優先分野への重点的な資源配分、人的基盤の強化、技術基盤の強化、日米同盟および諸外国との防衛協力の強化を重要視する意向を示した。

 

※写真=F-15の機能向上として、スタンド・オフ・ミサイルの装備、装備弾薬の種類の追加、電子戦能力向上を推進する。19年度は2機101億円で実施する計画