安倍総理、防衛力配備へ既存のスピード感から脱却

自衛隊高級幹部会同訓示、サイバー・宇宙など注目

　安倍晋三内閣総理大臣は9月3日、防衛省で開かれた「第52回自衛隊高級幹部会同」で、年末の策定を目指す次期防衛大綱について触れ、従来のような「新たな防衛力の完成を10年や15年かけて実現するようなスピード感からは、完全に脱却しなければならない」と強調。さらに「今までの常識はもはや通用しない」として、自衛隊将官クラスの高級幹部に対して、現実と未来に目を凝らしてほしいと訴えた。
　安倍総理は、特に新たな防衛分野としているサイバー・宇宙空間および電磁波領域を特に重視して、「今や新たな領域で優位性を保つことが、防衛に死活的に重要」と述べた。その上で、「もはや、陸・海・空という、従来からの区分にとらわれた発想のままでは、この国を守り抜くことはできない」として、宇宙・サイバー・電磁波領域の横断的な活用による防衛体制への変革は「もはや待ったなし」だと強調した。
　日本周辺の安全保障環境については、5年前の想定よりも格段に速いスピードで厳しさを増しているため、「これまでの成果の上に安住することは許されない」と強い調子で説明。その中で、冬に策定を計画する次期防衛大綱が「日本の安全保障の将来を決定づける、極めて重要なものとなる」と述べ、それらを踏まえた上で、自衛隊幹部に対し、「大局観ある、大胆な発想で考え抜いてほしい」と訴えた。さらに新たな大綱が「防衛政策の確固たる礎となるよう、全力を尽くして」と話した。