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2022.01.12

WING

第144回「日本が危ない」 我々は日本を守りきれるか

海保巡視船が尖閣で拿捕!?
もはや絶体絶命の事態に

 

 「『こんなにもあっけなく尖閣が盗られてしまうのか…』。内閣情報官からタブレットでツイッターの動画を見せられた総理は、肩を落とし深い憂慮をにじませた声でつぶやいた」――軍事問題に強く『兵士に聞け』などで知られる作家の杉山隆男が「尖閣が中国領になった!」と題した近未来小説(月刊「正論」2月号)で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)が中国に奪われた瞬間に総理がつぶやいた様子を描いた場面である。
 この中で、中国の公船は尖閣周辺の海に漁網をあちこちに仕掛けて海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の護衛艦が近づくのを阻んだ。その一方で、航空自衛隊も利用する那覇空港では中国旅客機が着陸に“失敗”し、機体が滑走路を塞いでしまった。このためF-15戦闘機が緊急発進することができなくなった。
 「民間と共用の那覇空港でトラブルが発生し、那覇からスクランブルが出来なくなったら、尖閣の空は一時的に無防備になるということだった」
 そうした間隙を縫って、中国海軍の大型ヘリが尖閣周辺で警戒にあたっていた巡視船に降り立ち、自動小銃を構えた兵士らが船内に突入し、次のように言い放った。
 「われわれは中国人民武装警察の海警総隊だ。ここ中国の領海内でこれより警察権を行使し、諸官らを領海侵犯の容疑で逮捕、連行する。同時に船舶を拿捕する。これは中国の国家主権の発動だ」
 「何を言うか。ここは我が日本国の領海内だ。領海侵犯しているのは君らだろ」
 兵士と船長との緊迫したやり取りは「CCTV」とのロゴが入ったカメラが映し出す。冒頭の映像は彼らによって撮られたもので、動画配信サイト「YouTube」やツイッターを通して全世界に配信された。総理はその場面を見たのだった。
 この続きは本文に譲るとして、尖閣諸島はもはや絶体絶命となっている。昨年、尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で確認された中国海警局公船の隻数は約1200隻と、中国公船が初めて領海に侵入した2008年12月以降、過去最多となった。那覇市にある第11管区海上保安本部によると、領海侵入回数は40日を超え、過去最多の2013年の54日に次ぐ。

 

固有の領土は日本人上陸禁止
迅速に標柱設置の政治判断を

 

 中国公船は4隻体制で定期的に領海侵入を繰り返す。近くで日本漁船が操業しようとすると、中国公船が近づいてきて追尾を開始する。巡視船の警護がなければ、漁船がいつ拿捕されてもおかしくない状況となっている。

 

※図=令和3年度防衛白書より

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