記事検索はこちらで→
2022.03.15

ウイングトラベル

★2000年代の観光、『住んでよし』に課題

 観光有識者100人アンケート、平均点は5.8点

 

 コロナ禍で観光がストップする中、2000年代の観光を総括し、持続可能な観光のあり方を考察するセミナーが3月11日に都内で開催された。このなかで、観光有識者100名アンケートで、2000年以降の『住んでよし、訪れてよしの国づくり』の取り組みへの評価は10点満点で聞いたところ、平均5.8点となり、「数は達成したが質はダメ」、「『受け入れてよし』に課題が残る」などの意見が寄せられた。パネルディスカッションに登壇した本保芳明国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所代表は、初代観光庁長官として「出来映えについては総括される側にいた人間」としつつも、「観光はこうあってほしいとの思いも含めて、私の評価は4点程度」と厳しめの評価を行った。その理由として、「観光が市民権を得て、経済的に非常に大きな成果を出し、地域に裨益したことは良かった」としつつも、「その効果が浸透する上で地域の人々の暮らしの豊かさ、文化や伝統芸能が守り育てられ、産業界そのものがイノベーションを繰り返すような副次的、本来的な効果は得られなかった。『住んでよし、訪れてよしの国づくり』と言いながら、『住んでよし』の部分はかなり置き去りにされてきたことは反省すべきだ」として、持続可能な観光の面で課題は残っているとの見解を示した。
 同セミナーは、『観光の基本に立ち返る〜2000年代の観光の総括とこれからの持続可能な観光のあり方〜』をテーマに、東京大学公共政策大学院交通・観光政策研究ユニット(TTPU)が主催。運輸総合研究所とUNWTO駐日事務所との共催、観光庁による後援で開催された。

※写真=パネルディスカッションの登壇者ら。左から本保芳明UNWTO駐日事務所代表、フランス観光開発機構のフレデリック・マゼンク在日代表、矢ヶ崎紀子東京女子大学現代教養学部国際社会学科コミュニティ構想専攻教授、三重野真代東京大学公共政策大学院准教授、経営共創基盤の冨山和彦グループ会長、新潟県津南町の桑原悠町長、由布市まちづくり観光局の桑野和泉代表理事

 

 観光による経済活性化とソフトパワーは高評価
 量的拡大も、住みよい地域や持続可能性に課題