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2018.09.28

WING

ボーイング、北東アジア市場は20年で1450機需要

前年予測比20機減、70%が経年機の入れ替え需要に

 ボーイング民間航空機部門シニア・マネージング・ディレクターのダレン・ハルスト氏が9月27日に都内で記者会見に臨み、日本・韓国・台湾からなる北東アジア地域における今後20年間(2017-2037年)の航空機需要について、「1450機の需要がある」との予測を明らかにした。これを金額に換算すると、約3100億ドルに達する。ちなみに、昨年ボーイングが発表した北東アジア地域の需要予測では1470機、金額換算で3200億ドルと予測しており、今年の予測では20機、100億ドル減少したかたちだ。昨年の予測に比べると、単通路機、広胴機はそれぞれ需要が10機ずつ増加している一方、リージョナルジェット需要は10機減、貨物機需要は30機減少した予測となった。
 ハルスト氏は北東アジア地域の特徴として、「単通路機と広胴機需要は、ほぼ同等規模」であることに言及。世界の傾向からすると、単通路機需要が圧倒的に大きいことがトレンドだが、北東アジア市場における1450機の需要のうち、670機が単通路機の需要で、630機が広胴機需要であると予測した。
 この理由として「北東アジア市場は非常に成熟度が高いため」と説明。「世界のどの地域よりも広胴機需要が大きい」とし、「今後の需要のかなりの部分が経年劣化機の入れ替え需要。フリート拡大のための成長需要は全体の30%に留まる」との見方を示した。
 その上で、2017年時点におけるこの地域のキャリアで運航されている航空機の数は1150機であることに対して、20年後の2037年には「40%拡大する」との見通しを明らかにしており、20年後の北東アジア地域のキャリアが保有する航空機の数は、1600機に達すると予測した。
 「なぜアジア地域は成長速度が速いのかといえば、その背景には中間層が拡大していることが挙げられる」とコメント。「10年後のアジア太平洋地域では、全世帯数の3分の2が2万ドル以上の収入を確保する。これによりさらに航空輸送、航空機の需要が拡大することになる」との見解を明らかにした。加えて、LCCもこの地域の成長ドライバーになっていることにも触れ、「3年前ならば、北東アジア地域におけるLCCが係る都市間輸送は123路線だった」としつつ、「たった3年間で75%もの成長率がみられ、215路線ものマーケットへと成長した」ことを明らかにした。「北東アジア市場においては、今後の更なる成長のなかで大きな部分を占めることになるだろう」と、引き続き、LCCがこの市場の成長ドライバーを担っていくだろうとの見方を示した。
 とりわけ日本市場に焦点をあててみると、「今年の輸送量拡大は4%で推移している」ことに触れ、「なかでも国際線の成長率が高く、6%の成長率がみられる」とした。その上で「長距離線は5%の健全な成長を遂げており、国際線の成長は非常に健全」と評価した。