WING
ボーイング、ハルスト氏「NMAは検討作業前進」
「需要は十分、引き続き生産・ビジネス成立性など検討」
ボーイング民間航空機部門シニア・マネージング・ディレクターのダレン・ハルスト氏が9月27日に都内で記者会見に臨み、ボーイングがローンチすることを検討中の新中型旅客機(NMA:New Midsize Aircraft)について、「市場性調査、生産および事業妥当性など、引き続き作業を行っており、前進している」とコメントするに留めた。「顧客から話を聞くと、このサイズの航空機需要は十分にある」としつつも、「我々はこの航空機にどのような特色を持たせるのか、さらにはビジネス面の計画について、内部で検討中」としている。
NMAは737型機の最大機種と、広胴機最小の787-8型機の隙間を埋めるもの。座席数は220席から270席くらいの規模が想定されており、航続距離はおよそ9620キロメートルに達するとみられている。現在の757型機と比べると約二割増しの大きさで、航続距離は25%増加する見通しだ。
白紙状態からのローンチは15年ぶりに日本航空機産業左右するプログラムの行く末は
ここ最近市場に送り出されてきた機体は、エンジン換装の737MAX、そして2020年に就航する777Xも777型機の派生機だ。来年にもローンチに踏み切るとみられるNMAだが、仮にこの機体がローンチされれば、ボーイングがまっさらな状態から開発する旅客機としては、2004年にローンチした787ドリームライナー以来、実に約15年ぶりのことになる。
既にエンジンメーカー各社がNMA搭載に向けたエンジン提案をした様相だが、日本の航空機産業からすれば、エンジン選定はもちろん気になるところだが、構造組立を中心にどのようなワークシェアを獲得することができるのかが、最も気になるところ。
ボーイングと日本の航空機産業の国際共同開発プログラムにおいては、NMA以外で次に立ち上がるであろうプログラムとしては、2030年代に就航することになるであろう737MAXの後継プログラムがターゲット。ただ、日本の航空機産業はこれまで737プログラムにおけるワークシェアはほとんど獲得しておらず、後継プログラムへの参画についても、日本の産業界は焦りを感じている。
NMAで確かなワークシェアを獲得することができるのか。NMAは日本の航空機産業界の行く末を大きく左右するプログラムとなることは間違いない。