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2022.09.30

WING

水際対策の全面緩和を歓迎、航空需要の回復期待

 田村NAA社長、年末年始頃からの本格回復想定

 成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は9月29日の会見で、「10月11日から水際対策が全面的な形で緩和されることを大いに歓迎する。下半期の航空需要の回復を大いに期待する」として、円安によるインバウンド需要の回復、同日から始まる全国旅行支援を追い風とした国内線旅客需要のさらなる上積みに期待する考えを示した。「他国の例を見ると、水際対策が緩和されてから1~2カ月後に顕著に効果が出ているようだ。クリスマスシーズンから年末年始に向けて、本格的に航空需要が回復することを期待したい」として、水際緩和から1~2カ月程度のタイムラグが生じることを前提に、日本でも年末年始頃から国際線旅客需要の本格回復に期待感を示した。
 去る9月7日から日本入国・帰国時のPCR検査が撤廃されるなど、水際対策が一部緩和されたが、「日本発着の渡航需要、とくにビジネス需要は増加していると聞いている。インバウンドについても添乗員なしのパッケージツアーが可能になり少し予約は増えてきた」としつつも、国際線需要の本格回復には至っていないと説明した。
 実際、8月の空港運用状況をみても、国際線旅客数はコロナ前の2019年同月比で28%、うち日本人は21%、外国人は15%のレベルにとどまる。また、9月1日~24日の速報値をみても、日本人・外国人を合わせた出国旅客数は19年比で19%に留まっており、9月7日からの水際対策緩和は数字につながっていない。
 そのうえで田村社長は、「10月11日から入国者数の上限撤廃、短期ビザの免除措置の復活、個人旅行の解禁が実施される。これが実施されると、現下の円安もあり、このメリットを日本経済が享受できるチャンス。航空需要についても回復してくることを期待したい」として、インバウンド需要をはじめとする国際線需要の本格的な回復につながることを期待した。
 国内線については、8月の国内線旅客便発着回数が5193回と、単月としての過去最多をわずかながら更新。国内線旅客数についても19年比で93%と、ほぼコロナ前の水準まで回復してきており、9月以降もほぼコロナ前と同程度の運航便数が計画されている。「全国旅行支援が実施されることもあり、直ちにかどうかは別にして、それらを追い風にしてさらなる上積みを期待したい」として、一連の水際緩和や旅行需要喚起策をきっかけに、国際線需要の本格回復、国内線需要のさらなる上積みにつなげたい考えを示した。

※この記事の概要
22年度の需要予測、見直すかどうか検討中
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・ワンターミナルなど「新しい成田空港」検討
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新しい航空ニーズ受け「ゼロベース」で見直し
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