記事検索はこちらで→
2018.10.15

WING

ANA、航空機の移動・牽引をリモコン機器で

整備士が機体の格納庫出し入れ、短期間で容易に
 
 全日空(ANA)は10月14日、羽田空港において、航空機の移動・牽引作業に用いるリモートコントロール式牽引車の実証実験を、報道陣に公開した。実証実験は、航空機を格納庫から出し入れする、いわゆるハンガーイン・アウト作業を行った。ANAによればこの機器を使えば、従来の航空機の移動・牽引作業に比べて、「1分ほど作業時間を短縮することができる。習熟することでさらに変わってくるだろう」との見方を示す。加えて、省人化についても「「すぐにどうとは言えない」と前置きしながら、役割を整理すれば省人化も実現するかもしれない」などといった効果を期待することができるようだ。
 公開した実証実験で行った航空機のハンガーイン・アウト作業は、通常ならばグランドハンドリングの作業の範疇だが、実験では整備士が行った。この実験に参加した整備士は「新しい機器について、これまでに15往復ほどの訓練を受けた」ことを明かしつつ、「スムーズに機体を動かすことができる」と、現場の反応は上々。わずかな訓練期間で、誰でも高いスキルを求められる航空機の移動・牽引作業を行うことができるようになるようだ。

 

20年導入見据えて運用規定や教育など検証

 

 ANAが実証実験に用いた機器はドイツのモトトック社製の「SPACER8600 MA」。バッテリー駆動で最高速度は時速6km。その最大牽引能力は95トンで、ボーイングの737-500/700/800型機のほか、エアバスのA320/321に対応する。ANAによれば、フル充電3時間で30回のプッシュバック業務を実施することが可能。すでにブリティッシュ・エアウェイズがロンドン・ヒースロー空港のターミナル5において、約30台弱の同機器を運用中とのこと。ANAはこの事例を調査して、実証実験に踏み切った。

 

※写真=インストラクターの指導の下、モトトック製機器で整備士が航空機を移動・牽引

※写真=新型機器が航空機をがっちりと掴む

※写真=リモートコントローラーで航空機を簡単に移動・牽引することができる

※写真=現行のトーイングトラクターから新しい機器へと入れ替わる日も近いか