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ロッキード、LRDR試験で衛星追跡に成功
ソリッドレーダー技術が陸上イージスにも生かされる
ロッキード・マーティンはこのほど、自社試験施設でLRDR(長距離識別レーダー)のため自主試作した試作縮小型レーダーと戦術ハードウエア、ソフトウエアを組み合わせた試験で、閉ループ衛星追尾に成功した。同社ではこれにより2020年のLRDRの米ミサイル防衛庁(MDA)への納入を確実視するとともに、この窒化ガリウム素子ベースのレーダー構成ブロックであるソリッドステートレーダー(SSR)コンセプトを陸上配備型イージスシステム(イージスアショア)など将来システムへの適用に向けた開発を進めていくとしている。
LRDR製造、2019年からフルレート
2020年の納入達成に全力
LRDRは長距離弾道ミサイルから米本土を防衛するための多層弾道ミサイル防衛システムのセンサとして重視され、2017年に最終設計審査(CDR)を完了、アラスカ州クレアで既に構造物の建設が始まっている。ロッキードではこの2020年の納入に向けて2019年より実機向けフルレート製造を開始する。同社では開発リスク軽減努力のひとつとして2015年にニュージャージー州ムーアタウンにSSRIS(ソリッドステートレーダー統合サイト)を自社費用で建設し、最終的なLRDRレーダーの縮小型レーダーで試験し、今回の衛星追尾に成功したもの。今回の試験では固有の高帯域性能を持つ戦術的バックエンド処理装置と先進的な戦術的ソフトウエアのアルゴリズムを組み合わせて、より遠距離からの脅威の識別能力(弾道ミサイルの弾頭とおとり弾頭を区別)を実証している。この技術はオープンアーキテクチャであり、LRDRだけでなくイージスアショアのような他のシステムのレーダーにも適用可能であり、実証済みの技術として提供していけるという。ロッキードではこのSSR技術が今後のレーダー開発のコーナーストーンであり、LRDR開発のキーであると見て、努力を傾注してきた。
※写真=LRDRに備えて試作され、衛星追尾に成功したSSRIS(提供:ロッキード・マーティン)