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川崎重工、水素航空機用燃焼器モデルバーナで燃焼試験開始
部分燃焼器のリグ試験用供試体設計も着手へ
川崎重工業が研究開発を進める「水素航空機向けコア技術開発」において、マイクロミックス燃焼器の心臓部であるバーナのモデルバーナを開発し、独アーヘン工科大学が所有する高圧試験設備において、実機環境に近い環境で水素燃焼試験を行ったことが明らかになった。
この試験を通じてマイクロミックス燃焼方式の基本的な成立性を確認し、燃焼数値解析の精度向上に資するデータを取得することにも成功した。来年度はこのモデルバーナを活用した試験を継続しつつ、アニュラ(環状)燃焼器の一部分を切り出した形態である部分燃焼器のリグ試験用供試体の設計に着手する。
本紙の取材に応じた川崎重工業航空宇宙システムカンパニーの木下康裕エグゼクティブフェローが明らかにした。
川崎重工業がその持てる技術、全社総力を挙げて取り組んでいる事業の一つが、水素関連事業だ。地球温暖化対策という人類共通の待った無しの課題に対するソリューションとして、川崎重工業が打ち出した答えの一つが水素。橋本康彦社長のリーダーシップの下、同社がロケット事業などを通じて従来から有していた水素という武器を活かし、さまざまな分野に波及させようとしている。もちろん、航空機分野もまた然り。政府のグリーン・イノベーション基金事業の一環として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「次世代航空機の開発プロジェクト」に、「水素航空機向けコア技術開発」を提案。この提案が2021年11月に採択され、本格的にその開発が進むことになった。
※この記事の概要
競争力強化へ低NOx化深掘り
明石でもモデルバーナで試験
水素対応の高圧試験設備、JAXAに整備へ
水素タンクはアルミ合金製、CFRP製を候補に
気化率、10日間放置しても支障ない水準
燃料供給システム構成設定完了
センシングやコントロール系開発へ
空港インフラ議論、さらに深掘り
エアバスとの共同調査継続希望
など