記事検索はこちらで→
2023.04.06

WING

F135ECUは運用者・納税者も納得のソリューション

 AETP比1/3のコスト、ライフサイクルで400億ドル削減

 F-35ブロック4への能力向上を巡り、その搭載エンジンに関する議論が米国で繰り広げられていたが、米空軍が今年3月に「F135エンジン・コア・アップグレード(ECU)」を採択する決断を下したことで、ついに議論に終止符が打たれた。
 議論の発端は、F-35がブロック毎に成熟度が高まり、段階的アップグレードが図られる一方、ブロック4の下では、現在同機に搭載されているF135エンジンでは発電能力や熱管理に課題が残るのではないかと指摘されていたため。そこでエンジンメーカーにより、「アダプティブエンジン移行プログラム」(AETP)の研究開発が進められ、「アダプティブエンジン」としてGEが「XA100」を、そしてプラット&ホイットニーも「XA101」の研究開発を進めた。
 レイセオン・テクノロジーズ傘下のプラット&ホイットニーは「XA101」の研究開発を進めると共に、既存エンジンであるF135の能力を向上させる「F135ECU」(ECU)も提案。「アダプティブエンジン」への換装か、あるいは「ECU」で能力向上を図るのか、議論が繰り広げられた。
 議論はどちらかといえば「アダプティブエンジン」採用へ傾いていたようにも思う。米国のシンクタンクであるヘリテージ財団も、「アダプティブエンジン」を支持していた。ところが蓋を開けてみれば、前述したように米空軍は「ECU」を選んだ。
 レイセオン・テクノロジーズのグローバルガバメントリレーションズ担当シニアヴァイスプレジデントを務めるジェフ・ショッキー氏が取材に応じ、「ECUは最もコストがかからず、最も迅速かつスムーズにアップグレードを図ることが可能な手法」であるとの認識を示しつつ、さらに、「F-35ブロック4への対応も図ることが可能で、最もメリットの多い手法だと考えている」と話すなど、F35のアップグレードを図るに際して、「ECU」こそ、最も効率的かつ効果的な手法であるとした。

※写真=インタビューに応じたレイセオン・テクノロジーズ政府関連担当シニアヴァイスプレジデントのジェフ・ショッキー氏

※この記事の概要
・超コスト効率に優れたECU
・F-35全機種に対応可能、重量バランスも変わらず
・熱管理問題で新冷却システム
・日本など国際パートナーにも利点、従来と60~70%共通部品に など