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2023.04.11

WING

川崎重工航空エンジン部門、PW1100G-JM事業、2割以上の増産対応へ

 中長期的な柱、増産対応への準備も

 川崎重工業の民間航空機向けエンジン事業は、コロナ禍に減速を強いられた。しかしながら三島悦朗ディビジョン長(執行役員)はここに来て「かなり回復の手応えを感じてきている」と、確かな手応えを掴んだ様相だ。とりわけ各国の国内・域内線といった短距離線の回復が顕著であることに言及し、「とくに北米市場は概ね回復しており、新型機に搭載しているエンジン稼働時間は、コロナ前以上になっている」ことに触れ、「状況としては既に成長軌道に乗っている」との見解を示した。
 一方、長距離国際線に関しては、「中国の渡航制限が解除されたとはいえ、アジアを中心に長らく需要が低迷している。加えてボーイングにおける787不具合問題があった影響で、我々が部品を製造する787搭載エンジンのTrent1000の生産が大きく伸び悩んだ」と話すなど、未だ色濃く影響が残っていることに触れた。その上で、今後「Trent1000の生産回復が、我々の事業回復の鍵になってくる」ことを明らかにした。
 ただ、三島ディビジョン長が、新型コロナからの同ディビジョンの回復の手応えを掴んだことに言及したように、新型コロナパンデミックの影響で大きく落ち込んだ民間航空事業は回復基調にある。それはPW1100G-JMエンジンプログラムが牽引しているため。
同エンジンを搭載するA320neoファミリーの受注が好調に推移していることから、エアバスはA320neoファミリーの生産レートを最大月産75機もの超高レート生産とすることを計画するなど、気を吐く。
 三島ディビジョン長は「A320neo搭載エンジンの市場は、プラット&ホイットニーとGE(LEAP-1A)が二分している。ただしA320neoファミリーは双発機で、我々のエンジン部品生産台数としては最盛期には月産75台以上に達するだろう」とコメント。「現時点で月60~65台の生産数量に達しており、そこから考えても更に2割以上の増産となる」との見通しを明かした。

※この記事の概要
・広胴機エンジン、回復は2025年度以降
Trent XWBエンジンがTrent1000超え
・FDGS、2~3年で「倍」の出荷見込む
 燃焼器パネルのシェア拡大期待も
・新対艦誘導弾向け「XKJ301-1」2台納入
 装備品移転の「弾」にも
・無人アセット向けに発展型KJ開発着手
 再使用型に完全循環式オイルシステム
・陸自V-22エンジン整備
 2024年度から契約開始予定  など