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バイオ燃料後進国から脱却描くユーグレナのストーリー
25年に年25万KLで商業ベースに、30年に年産100万KL
バイオ燃料先進国へ---。ミドリムシ由来のバイオ燃料を開発・製造するユーグレナの出雲充社長が11月2日、「2025年までに年間25万キロリットルを生産する」という野心的な計画『GREEN OIL JAPAN』を宣言した。2025年までに商業プラントを建設してバイオ燃料の商業利用をスタートし、2030年には更に追加で3カ所の商業プラントを新設し、4カ所体制で年100万キロリットルのバイオ燃料を製造することを目指す。欧米らバイオ燃料先進国に比べて日本のバイオ燃料利用は現段階で遅々として進んでいない。バイオ燃料メーカーであるユーグレナが、今から約7年後に商業ベースの量産化に踏み切ることを宣言することで、その利用に拍車をかけたい狙いだ。
出雲社長は「商業プラントについては、現在も国内・海外を視野に検討を進めている最中」とコメント。「(25万キロリットル生産時の)バイオジェット燃料とバイオディーゼル燃料の生産配分については、最も効率良く安く生産する配分について、実証プラントでノウハウを磨き、最適解をみつけたい」とし、実証プラントで磨き上げる技術・ノウハウをベースに、商業用プラントの建設地や生産割合などを探っていく方針を明かした。
ちなみに国のバイオジェット燃料の利用に関する委員会では、2030年頃にバイオジェット燃料の本格利用を開始する計画が示されている。ただ、ユーグレナが行った今回の宣言によって、日本におけるバイオジェット燃料の利用が前倒しされる可能性も期待できそうだ。
来夏からバイオディーゼルを一般供給
そうしたなかユーグレナでは、2025年の商業化に先駆けて2019年夏から100%ドロップ・インすることが可能なバイオディーゼル燃料の供給を開始する。
出雲社長は「是非、バスやトラックなどを商用車としてお使いの皆様や乗用車をお使いの皆様で、バイオディーゼル燃料を使ってみたいという方と共に、GREEN OIL JAPANのサポーターとしてこの取り組みを一緒に進めていきたい」とし、来夏からGREEN OIL JAPANのサポーターに対してミドリムシ由来のバイオ燃料を供給する計画を明かした。
ユーグレナではバイオディーゼル燃料について、様々な試験を実施してきており、軽油と同等のスペックを獲得することに成功したとのことで、プロジェクトに協力しているいすゞ自動車と共に、来年夏の供給開始までに最終的な品質の確認、公道走行試験などを継続していく。
さらに出雲社長は「できるだけ早く、陸・海・空で安心してお使い頂けるものを示したい。最後のピースである海のパートナー企業に対しても、必死にお声がけしている」ことを明かしており、「2020年までに技術を磨いて完成させる」と、海の分野へ進出することを示唆した。
※写真=大学発ベンチャーとしてスタートしたユーグレナが、いよいよ商業化に向けたタイムラインを宣言。出雲社長の視線の先には2025年の商用化、そしてその先も既に捉えている
※写真=実証プラントについて説明する出雲社長
※写真=バイオ燃料を貯蔵するタンク
※写真=バイオ燃料の出荷場
※写真=横浜市鶴見区の実証プラント外観