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世界最大! 全長8m熱可塑CFRP胴体上部、DLRら開発
月産60~100機の生産性確立へ、運航コスト2割減も
ドイツ航空宇宙センター(DLR)は、プレミアム・エアロテック、エアバス、アエルノバと共同で、熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(熱可塑CFRP)のみを素材とした機体構造を製作することに成功した。胴体上部のいわゆるハーフシェルのプロトタイプがDLRのアウグスブルクで生産され、プロジェクトに参画しているエアバスなどのパートナー企業によって去る7月18日に納入された。
DLRはこの熱可塑CFRPによる胴体を世界最大のものと胸を張る。6月中旬以降、製造したハーフシェルはプロジェクト・パートナーであるプレミアム・エアロテックの敷地内に置かれ、DLRのアウクスブルク施設でドアフレームの仕上げと取り付け作業が行われた。
この胴体は現在、シュターデにあるフラウンホーファー製造技術・先端材料研究所(IFAM)に輸送されており、そこでオランダの下部シェル(STUNNINGプロジェクト)と接合され、年内には完全な胴体シェル部分が完成する予定だ。その後、エアバスがハンブルクの応用航空研究センター(ZAL)において、技術の最終的な検証を行う予定だ。
冷え固まっても一定範囲で熱加えると変形
修理・リサイクルも効率的に
航空機構造は、数十年もの間、アルミニウム合金が主流。そこにCFRPを使った航空機たちが飛び交うようになったものの、一方でオートクレーブのような大規模設備によって高温高圧で焼成するような作業が必要となっており、初期投資やエネルギー消費量削減、生産性向上を目指し、熱可塑CFRPへの期待は大きく、日本国内でも研究開発が進められているところ。
※写真=DLRとパートナーが製造した熱可塑CFRPの胴体上部構造(提供:DLR)