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2023.07.20

WING

航空総隊鈴木司令官、獲得進めるスタンド・オフ

 3自衛隊による協力が不可欠、直ちに戦力化できる体制へ

 

 航空総隊司令官の鈴木康彦空将は、自衛隊の新しい方針を示したいわゆる防衛3文書における画期的な新体制を推進するため、“明るく、厳しく、逞しく”をモットーに手腕を振るう。新たな力となる装備品の導入がすでに示されているところだが、本格導入前の現在の準備が早期戦力化には欠かせないという。中でもスタンド・オフ防衛能力は、単にミサイルを配備しただけでは使うことができず、目標となる遠方の状況を把握できる能力を発揮することが重要だとし、そのためには陸・海・空の能力を集結しなければいけないとして、新たな航空宇宙自衛隊のあるべき姿を目指していく。

――実動部隊のトップとして、指導方針を教えてください。
 指導方針として挙げているのは、“任務の完遂”ということです。様々なところでも話しているところですが、多分自衛官全員が納得できる目標だと思うんですよ。私たちの任務は、領土・領海・領空と、日本の主権、それから国民の生命・財産を守ることです。この任務が完遂できなかった、ということはイコール私たちの存在意義がそもそもなくなってしまうということなのです。これ自体は各隊員が絶対に外せない。そのため指導方針というよりも目標、絶対に死守しなければいけない目標として挙げています。
 この任務の完遂につなげるため、それぞれの指揮官が指導方針を挙げています。それ自体は様々で、アプローチの方法は指揮官ごとに異なるので、例えば山頂を目指してどのルートで登るのかは、そのときの時勢や指揮官次第ですので、それぞれが山頂である任務の完遂を目指してほしい。ただし、これまでの経験の中で努めていることは、明るく、厳しく、逞しく、ですね。任務を完遂するためにどうしても必要なのが“逞しい部隊”であり“逞しい組織”であること。私たち航空自衛隊は、この逞しい部隊・組織を全力で作り上げていかなければいけないのです。
 例えば、最近ではウクライナ侵略の状況を見ていて、これは厳しい極限状態。隣ではまさに、爆弾が、ミサイルが破裂している。そういう状況の中で、普段、訓練で行っていることが本当にできるのか。こうした極限の状況は、幸いにして自衛隊はまだ経験していません。しかし私たちは想像力を働かせて、状況を考えていかなければいけないことだと思っています。そうしたシミュレーションができなければ、逞しい部隊、逞しい個人にはなり得ません。いかにしてそうなるか、といえば日ごろからの厳しい訓練でしかないでしょう。
 練習でいくら満足のいく成果が出せたとしても、本番でできなければ意味がないと言われることもあります。しかし、逆に練習でそれができなければ、本番で上手くできるわけがない。その練習自体を厳しく行っていかなくては意味がありません。
 ただし、組織は人手で成り立っているため、厳しさばかりを求めていては息が詰まってしまいます。そこで明るい部隊を目指す必要があります。先輩や上官との意思疎通が十分に取れていれば、仲間のために動くことができます。そのため私のアプローチとして、まずはしっかりと明るい部隊を作ることで、厳しい任務に耐えられるようになり、任務を完遂することができると考えています。その中で仲間のために、という気持ちの醸成が大事で、そういう明るい雰囲気の中で厳しさを求めていくというのが大事だと思っています。

 

 方針示す3文書、変わるのはこれから
 先行的な検討で導入直後に戦力化

 

――わかりました。ありがとうございます。次は昨年末に策定した防衛3文書についてです。かなり抜本的な防衛力の強化が示され、これまでとは内容が変わってきました。それを踏まえて今後、どういった組織を作り上げていこうと思っていますか。

 

※写真1=航空総隊司令官の鈴木康彦空将

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