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2023.07.20

WING

第181回「日本が危ない」『平和国家』が守るべきものとは

論点整理で見えた移転緩和

首相官邸も実現に消極的

 

 防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」をめぐり、自民・公明両党の実務者は7月5日に見直しに向けた「論点整理」をまとめた。移転原則の緩和に向けた方向性は示したものの、いつ結論を出すか決まっていない。「平和の党」を掲げる公明党が足を引っ張っていることもあるが、肝心の首相、岸田文雄の意欲が見えてこない。
 「装備移転を実現するんだという官邸の意欲が感じられない」
 自民党防衛族議員は不満げに漏らす。
 現在の運用指針では、安全保障面で関係のある国へ輸出できるのは、「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」という5つの類型に限られる。これらに該当しても、人を殺傷し、モノを破壊する「自衛隊法上の武器」は含まれないとしてきた。
 「論点整理」では、この類型に該当すれば、本来の業務を行うための装備に自衛隊法上の武器に当たる場合があることや、正当防衛を可能とする武器を搭載することは可能ではないかとの意見で一致があったと明記した。つまり、警戒・監視なら立ち入り検査を行う際の停船射撃用の銃器や、機雷処理するための砲は搭載可能というわけだ。
 一方で、公明党に配慮して、「国民が納得できる説明が必要であるとの意見があった」とも記した。
 5類型そのものについては、「撤廃すべき」という意見と、「必要な類型を検討すべき」という意見の両論があったとして、一致点を見いだせていない。もちろん、見直しに慎重なのは公明党だ。

 

ウクライナ支援で見劣る日本
慎重さ譲らない平和の党

 

 防衛装備品の輸出をめぐっては、昨年秋の自民、公明両党による国家安全保障戦略など戦略3文書改定に向けた協議で議論していた。運用指針見直しの必要性では一致したものの、具体化については4月の統一地方選後に行うこととなった。統一選への影響を懸念した公明党が延期を求め、自民党もそれに応じた。

 

与党WTの論点整理を受け取る萩生田光一政務調査会長と高木陽介公明党政調会長(自民党HPより)

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