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2023.09.01

WING

防衛省24年度概算、着実な防衛力強化で7兆円超

 イージス搭載艦建造へ、可動数向上も重視

 

 防衛省が発表した2024(令和6)年度概算要求額は、対前年度予算額よりも17.2%増加の7兆7385億円を要求する(SACO関係、米軍再編の地元負担軽減含めると13.4%増)。防衛戦略に必要な装備品や自衛隊施設などの整備に着手して、2027年度までに防衛力の抜本的強化を実現させるため、各分野で前年度予算額よりも多い要求額となった。特にイージス・システム搭載艦の建造に着手して、重視する能力の7つの分野のうち「統合防空ミサイル防衛能力」強化を図る。それとともに、「スタンド・オフ防衛能力」や「無人アセット防衛能力」では、将来の防衛力の中核となる分野だとし、引き続き抜本的強化を行っていく。また装備品の可動数向上や弾薬の確保、主要防衛施設強靭化への投資を継続して重視する考えだ。
 重視する7つの分野別に要求額を見ると、「スタンド・オフ防衛能力」は契約ベースで前年度予算よりも6791億円減の7339億円となった。トマホークの取得が前年度予算で完結しているなど要求額が減少したが、より重層的に国土全域を防衛するため、異なる特徴を持つミサイルの開発や取得を進める。「統合防空ミサイル防衛能力」はイージス・システム搭載艦の建造などを行うため2591億円増の1兆2420億円を要求する。「無人アセット防衛能力」は631億円減の1161億円を要求して空中・水上・水中で優勢獲得を図る。「領域横断作戦能力」では車両・艦船・航空機などの充実を図るため要求額が1461億円増の1兆7117億円となった。「指揮統制・情報関連機能」では、AIの導入・拡大を推進するとして1435億円増の4488億円を要求する。「機動展開能力・国民保護」では、部隊の機動展開能力を強化するため3554億円増の5951億円を要求する。「持続性・強靭性」では6357億円増の3兆1152億円を求めて、引き続き弾薬・燃料の確保と、装備品の可動数の向上を図る。

 

 イージス・システム搭載艦、トータル2隻4000億円

 トマホークや高出力レーザーなど配備も

 

 24年度概算要求の中で重点ポイントの1つに挙がっているイージス・システム搭載艦の整備では、建造への着手することに加え、各種試験に向けた準備や運用支援のテストサイト整備など関連経費も含めて、2隻の要求額が約4900億円になった。艦艇の建造自体は2隻で約3100億円だが、これにFMS技術支援や搭載装備などが加わり、取得経費としては約3800億円となる。さらに試験や運用支援施設の整備、システム技術の教育など関連経費として約1100億円が加わり、全体の要求額となっている。

 

※図=防衛省は来年度、イージス・システム搭載艦の建造に着手する予定(提供:防衛省)

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