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2023.10.11

WING

第186回「日本が危ない」能動的サイバー防御を加速化せよ

防衛相役が防衛相に就任
機密情報取扱いSCが課題に

 

 「台湾海峡危機政策シミュレーション」(主催・日本戦略研究フォーラム)の特集を3回にわたって掲載したが、内閣改造では「防衛相」役を行った木原稔が実際の防衛相に就任した。首相、岸田文雄は防衛相について、財務相や外相などと並ぶ「重要閣僚」であると明言した。木原にはシミュレーションの成果を現実の政治の場で活かすことが期待されている。同時に、課題として浮かび上がったのが安全保障に関する機密情報の取り扱いを有資格者のみに認める「セキュリティ・クリアランス(SC、適格性評価)」の問題だ。
 木原のシミュレーション参加は今回で2回目。昨年は「官房長官」役として、政府内の調整にあたった。木原を「官房長官」とするよう推薦したのは元首相、安倍晋三だった。安倍は所属する派閥は異なるものの、木原に期待し自身の政権で安全保障担当首相補佐官として起用した。
 安倍は2回目のシミュレーションの直前に凶弾に斃れた。木原には安倍の遺志を継いで、台湾海峡有事に取り組むという固い決意がある。昨年 12 月の国家安全保障戦略など安保 3 文書の改定では、与党実務者協議の一員として策定作業に関与した。
 木原が2年前の自民党総裁選で、安倍からの要請もあり支援したのが経済安全保障担当、高市早苗だった。高市も今回の内閣改造で留任した。

 

経済安全保障や新領域も範囲
慎重姿勢が制度の遅れに

 

 高市は「セキュリティ・クリアランス(SC)」の法制化を来年の通常国会で実現したいと訴えてきた。日本では国が機密扱いとした情報を扱う制度として、2014年から特定秘密保護法が施行されている。高市が取り組んでいるSC制度は、これを強化し、補完するものとなる。

 

改造内閣では防衛相が重要閣僚に(提供:首相官邸)

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