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2023.10.12

WING

月面有人与圧ローバ、フロントローディングで要素技術開発加速

 具体的なシステム仕様案も徐々に明らかに

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月11日、トヨタ自動車や三菱重工業らと共同研究開発を進めている月面走行用の有人与圧ローバ(愛称:ルナクルーザー)の開発状況について、その鍵となる「走行システム」や「再生型燃料電池システム」について、前倒し可能な工程を前倒しして進めるフロントローディング研究を実施している最中にあることを明かした。さらに、展開/収納型太陽電池パネル等の重要な構成要素についても、フロントローディング研究として試作試験を行う計画にあるとした。
 JAXAは同日開催された文部科学省の宇宙開発利用部会国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会のなかで説明した。現在検討している具体的な有人与圧ローバの仕様案なども明らかにした。
 有人与圧ローバは、米航空宇宙局(NASA)のアルテミス計画上でも重要な構成要素の一つとして期待されており、宇宙飛行士が一定期間居住可能な機能と空間を備え、宇宙服による乗降が可能な有人対応の月面走行車だ。宇宙飛行士による運転はもちろん、遠隔操作及び自律運転により月面上の広い範囲を持続的に移動可能なモビリティとなる。
 JAXAによれば、現状の有人与圧ローバのシステム仕様案では、ミッション要求としての運用期間を10年間に設定。クルー2名が搭乗することを可能とし、ミッションフェーズ#1では月の南極域を探査する。そのミッションフェーズ#1では、有人ミッションとして南極の夏季に年間31日(越夜:1.5日)、無人ミッションを年334日間行うことを想定する。さらに、その先のミッションフェーズ#2では南極エイトケン盆地(SPA盆地、5領域6地点)を42日間(越夜14日)探査することが求められる。このミッションフェーズ2の実行に関しては、米航空宇宙局(NASA)と調整中とのことだ。

※この記事の概要
・走行性能は?
・重要技術要素、その課題や解決策は如何に
・日本が開発することの意義   など