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2023.12.07

エアバスヘリ、カナダ当局からH160型式認証

 エアバス・へリコプターズは12月6日(現地時間)、カナダ運輸省民間航空局(TCCA)から、H160の型式証明を取得したことを発表した。これにより、カナダ市場への参入を加速させていく構え。
 エアバス・ヘリコプターズの北米地域責任者であるバート・ライネン氏は、「H160のマルチミッション能力と安全性、快適性、効率性に貢献する先進的な機能は、すでに北米全域で強い関心を呼んでいる」とコメント。「TCCAから取得した型式認証は、カナダのヘリコプター産業にとって、新たな大きな節目となる。カナダのみならず、北米大陸全体の革新的技術の水準を引き上げることになるだろう」とコメントした。
 膝元の欧州では2020年7月に型式証明を取得し、日本でも2021年5月に型式証明を取得。オールニッポンヘリコプターが運用中だ。
 5.5トン-6トン級の双発ヘリで、サイズ的にはちょうどH145とH175の隙間を埋める機体となる。エアフレームは全複合材。史上最大となる直径1.2メートルもの「フェネストロン」を装備しており、その「フェネストロン」は約 12度傾いている。
 さらには複葉安定板「Biplane-Stabilizer」を装備することで、低速飛行時やホバリング中の空力損失を軽減している。

 

※写真=カナダ当局から型式証明を取得したH160(提供:エアバス)
 また、メイン・ローター・ブレードは「Blue Edge」(ブルーエッジ)と呼ばれ、従来型のメイン・ローター・ブレードと比較して、飛行時の外部騒音を半減(3dB)させるとともに、ペイロードを100キログラム増強することが可能となる。
搭載エンジンはサフラン・ヘリコプターズ・エンジンズの「ARRANO」(アラノ)。機体と同様に、様々な革新的な技術を盛り込んでおり、例えば3Dプリンターを使って新しいインジェクターを新規に開発したほか、補機の配置についても顧客からの意見をフィードバックするかたちで、従来からの配置を大きく変更。ブリードバルブも無くしており、ブリードバルブの不具合が発生しないようにした。
 ちなみに最大離陸重量(MTOW)は5670キログラムで、速力は巡航速度155ノット(時速 285km)と高速で飛行することが可能。最大航続距離は460海里、最大4時間10分飛行することができる。
 その他、各種電子部品をコールド セクションに配置することで、不具合の発生を抑える設計とし、火災検知についても従来のバイメタル製品から新しいワイヤー技術を採用することで、不具合の 発生を抑えるものに変更した。さらに全デジタルエンジン制御装置(FADEC)の新技術を組み込むことで、エンジンをモニタリングすることができるように なり、ボアスコープ点検も省力することができるようにした。
 なお、エアバスによれば同機は世界全体で、すでに2800時間以上の飛行時間を記録しているという。