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2018.11.21

WING

国交省、航空従事者の飲酒基準を明確化へ

航空各社でバラバラな検査や基準、統一なるか

 国土交通省は11月20日に、「第1回航空従事者の飲酒基準に関する検討会」を開催した。これは日本の航空業界において飲酒に起因する不適切事案が相次いでいる状況から設置したもので、国交省航空局を事務局として、航空工学、航空機操縦、アルコール医学や航空医学の有識者を招聘している。
 第1回検討会では、日本や諸外国の運航乗務員の飲酒関連基準を参考にしての論点整理が行われ、現行の航空法ではアルコール基準値が明確ではないことから、数値基準を設けることでまとまった。具体的な数値については引き続き事務局で検討し、12月中旬に予定している第2回検討会で議論する予定だが、概ね自動車等の基準よりも高い基準値とするべきという方向性で一致している。そのほかの論点としては、新たに導入する検査がどのように行われているか確認していく必要がある点や運航従事者の自己管理が重要として、操縦士としての自覚や飲酒に関する知見を教育し、理解させていく必要があるとの意見等が出たとのことだ。
 
 国内航空会社25社中常時検知器使用は17社
 検査内容・基準値は航空各社でバラバラな現状
 
 また委員会には参考資料として諸外国と日本の飲酒基準の現状が提出、国交省が行った国内定期運送事業者25社への操縦士の飲酒対策のアンケート調査が公表され、航空会社各社でのアルコール検知器の使用状況が明らかになった。
 これによると、25社中、常時アルコール検知器を使用しているのは17社で、飲酒の影響が疑われた際に使用しているのが4社、使用していないのが4社という結果となった。検知器を使用している21社の内、吹きかけ式のみを使用しているのは13社で、吹きかけ式とストロー式を併用しているのが3社、ストロー式のみが5社とのこと。また呼気アルコール濃度の合格基準は、検知器を利用している21社中、使用する検知器の検出限界を基準にしているのが10社で、0.05~0.10mg/lが8社、0.10~0.15mg/lが3社という結果となり、航空会社各社で基準がバラバラな現状が明らかとなった。
 またアルコール検知器による検査時の立ち会いについては、21社中、常時地上スタッフが立ち会うのが4社で、飲酒の影響が疑われる際等に地上スタッフが立ち会うのが13社、立ち会いなしが4社となっており、不適切な検査が行い得る状況が航空業界で常態化していたことが伺える。さらには操縦士に対するアルコール教育の実施状況としては多くの航空会社で任用訓練等で初期教育の一環で行っているが、定期的に専用の教育を行っている会社は少数に留まっているとのことだ。

 

※写真=第1回検討会の冒頭で挨拶する国交省航空局長蝦名邦晴氏