記事検索はこちらで→
2023.12.15

WING

宇宙X線捉える大型ミラー製造技術を確立

 東大・名大・夏目光学、電鋳法で高精度ミラー作製

 東京大学先端科学技術研究センター、名古屋大学、そして夏目光学の3者は12月12日、宇宙X線を捉える大型ミラーの製造技術を確立することに成功したことを発表した。精密電鋳法の開発によってミラーの高精度化に成功したとのことで、1マイクロメートルを上回る高い精度で、X線望遠鏡用の高精度筒形ミラーを作製する技術を確立したという。
 この研究は、東京大学先端科学技術研究センターの三村秀和教授と山口豪太客員研究員、名古屋大学の三石郁之講師、そして夏目光学の橋爪寛和取締役常務らの研究グループの手によるもの。
 宇宙にはX線を放つ高エネルギーの天体が数多く存在する。X 線は非常に高いエネルギーを持つ光であることから、一般的なレンズやミラーで集めることはできない。宇宙X線観測用の望遠鏡では、ウォルターミラーと呼ばれる特殊な筒形ミラーが用いられている。このウォルターミラーは、円筒形の内面にナノメートルオーダでの鏡面加工を必要とするため、その作製は困難だった。その性能は、大型ミラーをどれだけ正確に作製できるかということが鍵を握っているという。

※写真=X線望遠鏡用の筒形ミラー。長さ200mm、直径約60 mmで作製(提供:東大、名大、夏目光学)