記事検索はこちらで→
2024.01.09

ウイングトラベル

★観光・旅行業界年頭所感、海外旅行回復なるか

 事業の多角化、原点回帰、業界全体で信頼回復

 

 2023年の旅行市場は、5月の新型コロナウイルスの5類移行を契機に、国際観光が回復し、とくに訪日インバウンドは急速に回復し、10月にはコロナ前を上回り、暦年で19年比8割近くに達する見通しだ。一方で、日本人海外旅行アウトバウンドは回復が遅れ、19年比50%程度の見通しだ。
 そうした中で、2024年の訪日旅行は25年の目標である19年水準を1年前倒しで達成することが予想される一方で、海外旅行は25年のコロナ前完全回復に向けて、24年は70〜80%の回復が期待される。
 観光庁・観光関係団体トップの年頭所感も訪日インバウンドは急成長に伴うオーバーツーリズム対策、遅れているアウトバウンドの回復施策、持続可能な観光、観光DXの取り組みなどの課題に言及している。
 旅行各社トップの年頭所感では、そうした中で、旅行からの事業領域の多角化、海外旅行の完全回復へ原点回帰と方向性が別れてきた印象を受ける。こうした方向性の違いが今年はさらに鮮明になるのかもしれない。
 ただ、コロナ禍を契機とした官公庁・自治体からの受託事業は、コンプライアンス違反という事案も発生し、旅行業界の信頼を損なった。今年は旅行業界の信頼回復への1年でもある。
 年が明けた元日に能登半島地震が発生し、被災地の救援・支援・復旧作業が懸命に行われている。しかるべき時期に、被災地の復興に向けた観光支援が観光施策が行われるとみられる。観光・旅行業界全体で、能登半島地震被災地への観光復興支援に取り組む1年にもなろう。(編集部)

 

■持続可能な訪日地方誘客、国際・国内交流促進
 観光庁長官 髙橋 一郎

 

 本年は昨年3月に策定した観光立国推進基本計画に掲げる「持続可能な観光」の実現に向けて一層注力すべく、「地方を中心としたインバウンド誘客」、「持続可能な観光地域づくり」、「国内交流拡大」の3つの分野の取組を強力に推進していきたいと考えています。

 

【地方を中心としたインバウンド誘客】
 消費額は基本計画の目標達成が視野に入りつつありますが、日本のインバウンドが更に成長を遂げていくためには、まだまだ大きなポテンシャルを秘めている地方部の魅力を引き出して、力強く誘客を進めていくことが重要であると考えています。